2008年06月11日

2010年問題

製薬国内3位第一三共がインド最大手の製薬会社ランバクシーを買収して、売上でアステラス製薬を抜き国内2位に浮上するようです。

買収金額的には3〜4000億円、最大で5000億円と言う事で、4月の武田製薬による米ミレニアム買収(約9000億円)ほどではないですが、昨年末の国内4位エーザイによる米MGI買収(約4100億円)とほぼ同規模となりそうです。

最近、2010年問題として騒がれていますが、これから5年ほどで、日本の製薬会社の収益の柱となっていた看板商品の特許がアメリカで次々に切れます。

特許が切れたから売れなくなる訳ではないのですが、近年世界中でジェネリック医薬品が広まっている事から、特許切れの薬の売上は急激に落ち込むと言われています。

薬は、ヒット商品は一つで1000億円レベルの売り上げを生みます。国内製薬大手の売り上げが1兆円前後ですので、どれだけヒット商品の特許切れが大きいか分かると思います。

新しい薬を開発してそれを新たな収益のはしらにするのが一番なのですが、新薬の開発は難しく、また、近年、アメリカを中心に新薬臨床試験の厳格化などが進んでおり、新薬を発売まで持ち込むのが難しい状況になっています。

そこで今、大きく分けて2つの買収が行われているように思います。

一つはベンチャー企業の買収。つまり、新薬候補や優れた技術を持つ中小規模のバイオ企業を買収してしまうと言うものです。武田のミレニアム買収はまさにこのタイプの買収なのですが、このタイプの買収には青田買い的な要素があり、「本当にその買収金額に釣り合う収益を生むのか?」という懸念がつきまといます。エーザイの買収したMGIもがん治療に強みを持つバイオ企業です。基本的に、大手の製薬会社は新薬メーカーであるため、こちらの買収が多いようです。

そして、もう一つ、今回の第一三共が買収したインドの製薬会社ようなジェネリック医薬品に強みを持つ企業の買収です。ジェネリック医薬品は特許切れの物質を用いた安価な薬の事ですが、近年、その安さから世界各国で急速に広まっています。そのジェネリック医薬品の開発・販売に強みを持つ企業を買収する事で、ジェネリック医薬品部門でも稼いでいこうと言うものです。


この数々の買収の裏には、特許切れと言う問題以外にも日本の製薬業界の抱えた問題があります。

実は日本は医療先進国でありながら製薬会社は小規模のものが乱立すると言う状況が今での続いています。国内最大手の武田製薬ですら世界的に見たら14位程度で、売り上げは世界トップ層4分の1程度です。

先述の通り、製薬は他業種に比べて一つの商品が稼ぐ金額が大きい特徴があります。

つまり、一つのヒット商品を生み出すかどうかで会社の命運が決まってしまうと言っても過言ではないんです。

そのため、製薬では特に、規模の力が優位に働きます。つまり、大規模に新薬開発が行えるほど、優位に立てるのです。海外の製薬大手ほど巨額の資金を研究開発に充てています。

それで欧米では製薬会社の業界再編が進み、現在、売上が3〜5兆円という巨大企業がいくつもできていて、それぞれが研究開発に多額の資金をつぎ込んでいます。

それに対し、日本国内では、2005年に藤沢薬品と山之内製薬が合併してアステラス製薬ができ、また、第一製薬と三共が合併して第一三共ができましたが、それでも武田、第一三共、アステラスの上位3社の売り上げはどれも1兆円前後で、世界的に見ればかなり下位の方です。

規模が小さいので、研究開発力に劣ります。新薬メーカーとして生き残っていくためには優れた新薬開発力が必要であり、それで、有望な新薬候補を持つ海外のバイオ企業を次々に買収している訳です。

国内でも、キリンホールディングスによる協和発酵の買収などもありましたが、昨年はアステラス製薬が米アジェンシスを、エーザイがモルフォテックとMGIファーマを買収し、今年に入っても武田のミレニアム買収、第一三共の独ユースリー買収などがありました。

もう、あまりに多くてどこがどこだったか分からないくらいです。それくらいに、各社とも買収攻勢に入っています。

今後、製薬業界がどういう変革を遂げるかは分かりませんが、まだまだこの流れは止まりそうにありません。

ただ、企業の生き残りと言う点ばかりが報道されていますが、製薬会社は「薬」を作る会社です。

「薬」は、命を救う商品、優れた薬は、多くの人の命を救ってくれます。

私は、これらの企業買収が、多くの人の命を救う事につながる事を祈っています。


posted by new_world at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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