2008年07月06日

新型インフルエンザの恐怖

ここ数ヶ月、新型インフルエンザの話題が新聞などで多く見られます。流行の予測や対応策の効果、あとは事前対策についてなどです。

インフルエンザの感染予想自体は不可能に近くて、感染力、致死率、発生地、季節、あとは各国の対策の効力などかなり多くのパラメータがあるので、感染予想のデータとしての正確性はほとんどないと思います。ただ、世界で相当数、多い場合、十億人近くが感染するとさえ言われています。たとえば、1918年の新型インフルエンザ(通称スペイン風邪)では世界の2〜3割のヒトが感染したとされます。現在の人口は66億人なので、2割でも13億人です。

現在、いわゆるトリインフルエンザはトリ→ヒトへの感染までしか確認されていませんが、その致死率は60%とされています。今の段階ではヒトからヒトへは感染しないので大流行はしませんし、また、この致死率では感染者がほとんど死んでしまうので大流行は不可能です。大流行するためにはヒトから人への感染が必要で、致死率もある程度低くなるとされています。

日本政府は日本国内での感染者数は最悪で総人口の25%、入院患者は最大で200万人、死者は最大で64万人と想定しているようです。ただ、さきほど述べた通り、インフルエンザウイルスの性質や発生季節により感染力も致死率も違いますし、現在立てている対策の有効性も未知数なので、これより大きくなる可能性も意外と小さくなる可能性もあります。


日本に限らず、世界の先進国を中心に新型インフルエンザの事前対策が進んでいます。事前対策には大きく分けて2つあります。一つはプレパンデミック(大流行前)ワクチン、もう一つは抗ウイルス薬の備蓄。

プレパンデミックワクチンは現在のトリインフルエンザウイルスから作成したワクチンで、新型インフルエンザがトリインフルエンザの特徴を残していればある程度の効果があるとされるワクチンです。

日本でも医師や検疫所職員における臨床試験が8月から始まるようで、安全性が確かめられた場合、来年には医師や警察など優先すべき職業従事者(約1000万人)に対するワクチン接種を行う予定だそうです。

もう一つ、タミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬の備蓄も各国で進んでいます。日本の場合、既に総人口の23〜25%の備蓄ができているそうですが、更に多くの備蓄を確保する方針が出されています。



ただ、このプレパンデミックワクチンにしてもタミフルにしても本当に効果があるかは未知数です。たぶん、全て全くダメと言う事はないと信じたいですが、一番重要なのは実際に発生してから作るワクチンでしょうね。

ただし、現在の技術力・生産能力では全国民へのワクチンが製造するのに1年半かかるようです。これに対し政府は、これを半年にするという目標と立てています。

6ヶ月もかかるのなら流行に間に合わないのではないかと思われる方も多いでしょう。

まぁ間に合わないかもしれません。

ただ、現行の対策がある程度の効果を発揮すれば、国内への侵入を一定期間足止めする事ができます。

現行の対策としては、「発生地域を隔離し、集中的に対策を行う」というものがあります。

たとえば、ある国のある地域(東南アジアが有力視されています)で新型インフルエンザの誕生が確認された場合、その地域を隔離し、そこからウイルスを外へ出さないように徹底的に対策を講じると言うものです。ヒトの出入りを封じ、優先的にワクチンや抗ウイルス薬をできる限り投入し、ウイルスの拡散を防ぐと言うものです。

もちろん、ヒトの出入りを完全に防ぐ事は不可能なので、これで根絶やしにするのは不可能ですが、拡散を遅らせる事はできるかもしれません。


ただ、問題もあります。

発生地として有力な地域が南アジア・東南アジアと言った途上国だと言う事です。

途上国は資金面で事前対策を進める余力が無いんです。事実、タミフルの備蓄は先進国でばかり進み、ワクチンの開発力も先進国が圧倒的です。

つまり、対策が進む地域と発生予想地域が異なる訳です。

先進国による途上国への抗ウイルス薬の支援やプレパンデミックワクチンの提供などが今後も進むと思いますが、インフルエンザの拡散を防ぐためにも国際協力は絶対に必要です。

ウイルスの進化はかなり速く、いつ新型のインフルエンザウイルスが誕生するか分かりません。世界規模の対策が求められているんです。


私たち一般市民にできる事はそれほど多くないでしょう。ただ、新型インフルエンザの危険性を理解する事は重要でしょうね。

まだ起きていない災害に対する意識の低さはどうしようもないですが、この新型インフルエンザはある意味大震災より危険です。

新型インフルエンザは、最悪の場合、大都市直下型地震レベルの被害者・死者を出す災害とみなすべきです。

しかも、地震と違い被災地域は地球規模です。

自分には関係ないとは言えないんです。

特に、若い人が危険だと言われています。

1918年のスペイン風邪で最も高い致死率を出したのは乳幼児と20代〜30代です(ほぼ同じレベルの致死率)。一番低いのは10歳前後の子供で、あとはお年寄りも低い致死率でした。

スペイン風邪(日本)死亡率統計.png

通常の風邪とは異なる分布をとったのです。

これは、次回詳しく書く予定ですが、免疫系の暴走が原因とされています。

サイトカインストームと呼ばれる現象です。

免疫系が健全であればあるほど重症になると言う事です。

つまり、日頃健康な人がどんどん倒れる事になります。

ヒヤヒヤしている子供(を持つ親)やお年寄りよりも、自分は健康だから新型インフルエンザなんかには負けないと思っている若い人が危ないんです。


posted by new_world at 01:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 科学な話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
え〜ビックリですね!!
元気な人ほどかかるんですか。。。

だから私、インフルエンザにかかったことが無いのかも(笑)
Posted by マチルダ。 at 2008年07月06日 10:14
マチルダ。さん
いや、普通のインフルエンザは体が弱いヒトほど発症しやすいので、やはり、子供やお年寄りが危ないんです。

新型で予測されるような特殊な場合、健常者ほど危険な状態になると言う事です。
Posted by new_world at 2008年07月13日 21:59
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