2008年07月15日

霊長類の生息域とヒト

以前、ヒトの生物学的な特徴について書いた事があります。

その際にも書きましたが、ヒトの持つユニークな特徴の一つとしてその広大な生息域があげられます。

特に、本来熱帯の生物である霊長類の一種であるヒトがこれほど広い生息域を持つ事自体が特異なんです。

人間の生息域は、ヒト以外の霊長類の生息域(下図)の倍はあります。

ヒト以外の霊長類の生息域

新しい環境に進出する場合、通常の生物は遺伝子を頑張って頑張って数百、数千万年という時間をかけて変化させ体を新しい環境に適応させていきますが、ヒトは、火や衣服、住居などの様々な道具を用いる事で自分のさらされる環境を自分が生きられるように適応させます。そのため、数万年と言うあり得ない速さで世界中に広がり、しかも、遺伝的な変異がほとんどなく、アフリカのヒトと南アメリカのヒトは同種です。

しかも、ヒトは道具を使う事で移動能力すらあげています。

ガラパゴス諸島にほ乳類がほとんどいなかったように、通常、体温維持が必要なほ乳類は広い海を渡る事ができません。

ところがヒトは、食べ物を積み込んだ船をコントロールする事で、大海も横断する事ができるのです。


また、ヒトは言葉と言う、言わば第二の遺伝子を持っています。

通常の生物が、偶然の突然変異によって情報を残していくのに対し、ヒトは、自ら生み出した言葉によって複雑な情報を難なく周囲の仲間や子孫に伝える事ができます。ある種の遺伝と言えると思います。

学校教育がその最たるものですね。必要となる基礎的な情報を集中的に伝えるヒト独自の重要なシステムです。

言葉による情報の共有によって更なる効果も生み出されます。

単に情報を伝えるだけではなく、ある個体が優れた改良点を発見した場合、それを周囲に伝える事で、全体の水準を上げる事ができるのです。

科学技術などを例に挙げるとわかりやすいですね。

新しい優れた発見も、たった一人の優れた個体が見いだす事ができれば、人間はあっという間にそれを共有し、子々孫々伝えていく事ができるのです。

このように、ヒトは情報を共有し、それを高め合う事で相乗的に進歩してきたのです。


ヒトが特別な存在と言う訳ではないですが、ヒトにはこんなにも優れた能力が備わっているのです。

ただ、これはヒトの持つ特徴であって、他の生物には他の生物独自の特徴を持っています、ヒトが最も進化した生物だと言うのは明らかな誤りです。ただ、ヒトが極めて弱い存在だと言う偏見も間違っています。

ヒトは一つの生物種、それ以上でも以下でもありません。


posted by new_world at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 生態の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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