2008年08月09日

『戸塚洋二の科学入門』

一月ほど前、物理学者の戸塚洋二氏が66歳の若さで亡くなりました。戸塚氏は、ニュートリノの検出及びニュートリノ天文学の創始でノーベル賞を受賞した小柴氏の弟子にあたり、戸塚氏も同分野で活躍、1998年にスーパーカミオカンデを用いてニュートリノ振動を検出し、ニュートリノが質量を持つ事を確認しました。

その戸塚氏の書かれた原稿をもとにした『戸塚洋二の科学入門』というサイトがあります。東大教養学部の立花隆氏のゼミHP内にあり、あまり大きくはないですが、戸塚氏の考え方がかいま見れるサイトです。

中には、亡くなられる2週間ほど前に行われたインタビューの記事が掲載されています。戸塚氏の学生から研究者になるまでの話や、最近の話題についてインタビューが行われています。

「ノーベル賞候補」って感じの雰囲気ではなく、親しみやすい大学教授との雑談って感じの内容です。


戸塚洋二氏は58歳の頃に大腸がんが見つかり手術。翌年にはスーパーカミオカンデの大事故が起こります。事故の原因究明や研究再開に尽力し、また、引責して東京大学を辞職し、高エネルギー加速器研究機構に移られました。しかし、癌の再発、転移が見つかり、06年に高エネルギー加速器研究機構を辞職されます。その後も、科学に対する情熱を失わず、また、自らの体に起こっている事を科学者として記録し、最後の最後まで科学者であり続けました。



科学は積み重ねです。

偉大な科学者の業績も時代の科学者が塗り替えるのが常です。科学者は自分の理論を持っていますが、それが否定される可能性も知っています。それが発展です。

知識はどんどん発見され、科学は進歩していきます。

戸塚氏はインタビューの中で次のように述べています。



私が嫌いな言葉がひとつあって、「子孫に負を残すな」っていう言葉。僕は「どんどん残せ」っていうんですよ。放射性廃棄物の処理にしても、環境問題にしても、エネルギー・食糧危機にしてもね。我々より頭が良くなってるはずなんだから、彼らに任せれば簡単にやっちゃうよ、って。そういうのを、期待してるんですよ。



私たちは、先人たちが生み出した知識を向上させ、先人たちが生み出した課題を解決していかなければならないんですよね。課題を解決する事で、更に進歩ができるでしょう。

ヒトは、積み重ねです。

ヒトは他の生物と異なり、情報を共有することで“誰か一人の発展”を“全員の発展”にできます。

私たち一人一人が、ヒト全体の発展を担っていると言えます。

戸塚氏は、まさにその発展を大きく成し遂げた人物だったのです。


posted by new_world at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学の雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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