2005年06月09日

DNAの構造/RNAウイルス

DNAってどんなものかご存知ですか?

私も大学に入る前はDNAとRNAのちがいも分かってませんでした。(私、入試は物理で受験しました)

DNAというものはデオキシリボ核酸の略で、RNAはリボ核酸の略です。

“デ オキシ”というのは“酸素が抜けた”という意味で、DNAとRNAの違いは酸素一個分です。

まぁ鎖状なので繰り返しの一部分あたり一個の酸素です。

下図はDNA・RNAを作る糖であるリボース(左)とデオキシリボース(右)で、この二つの違いは五角形の右下の炭素についているのがOHなのかHなのかの違いです。

右側のOが抜けたHだけの方がDNAの素です。(これがつながって塩基がついたのがRNAやDNAができます。)

ribose.jpg

DNAにしてもRNAにしても、前回書いた通り、糖とリン酸の鎖の糖の部分に塩基がついたものです。

DNA.jpg




◎RNAウイルスについて
RNAも二本鎖を作ることは出来るのですが、DNAに比べ不安定で、安定的に長い鎖を作ることは出来ません。

ただ、一部のウイルスはRNAを遺伝物質として使っています(それ以外は全てDNAです)。

そのRNAウイルスは大きく分けて二種類あります。

RNAポリメラーゼという酵素を作るものと、逆転写酵素を作るものです。

この二つはウイルスの遺伝物質RNAの複製に関与する酵素で、RNAポリメラーゼはRNAからRNAを複製するもので、逆転写酵素はRNAからDNAを作るものです。

逆転写酵素で作られたDNAは宿主のDNAと一緒に複製されます。

なんでこんなことを説明したかというと、これがRNAウイルスのアイデンティティになるからです。

普通の細胞がDNAを複製する際には様々な修復機能が働きます。

ところが、RNAウイルスのRNAポリメラーゼにはその修復機能がついていないのです。

ですから、高頻度でミスが生じます。

一方、逆転写酵素の場合は、出来たDNAは宿主が複製するので修復機能が働くのですが、こちらは逆転写酵素にあえてミスを起こしやすい仕組みがあるのです。

どちらも、その酵素がミスを引き起こすのですが、逆転写酵素の方が積極的です。

勿論、ミスですからそんなに都合よく行くものではなく、多くはウイルスにダメージを与えます。

ところが、そのごく一部がプラスに働くとそれが生き残っていくのです。

ダーウィン進化といえます。

それに、ミスが起こりやすいといっても、1万塩基くらいのRNAウイルスで、1回の複製で1箇所程度です。


RNAを遺伝物質にもつ代表的なウイルスは、エイズウイルス、インフルエンザウイルス、SARSのコロナウイルス、狂犬病ウイルスなど。他にも、黄熱病やデング熱、日本脳炎、エボラ出欠熱の原因ウイルスなどもRNAを遺伝物質に持っています。





※RNAポリメラーゼ=『RNAのポリマー+ase』。
aseは酵素を意味します。ポリマー=重合体=同じものが繰り返し結合して並んでいるもの、です。

ポリマーのポリはポリエチレンのポリです。ポリエチレンはエチレンが繰り返し結合して並んでいるものです。

つまりポリメラーゼは「重合体を作る酵素」という意味です。

DNAを複製するものはDNAポリメラーゼです。ちなみにつづりは polymerase(=polymer+ase)です。

あと、RNAポリメラーゼはRNAを作るというのが定義なので、RNAポリメラーゼにはRNA→RNAを作るものとDNA→RNAを作るものがあります。

上で取り上げたのが前者で、転写で使うのが後者です。






※逆転写酵素=『転写の逆をする酵素』
転写とは単にDNAからRNAを作ることです。

アミノ酸の“一本鎖”であるたんぱく質を作る時は一度ハンディーな設計図となる“一本鎖”のRNAに読み直します。

これを転写といいます。

この逆の反応RNA⇒DNAを起こすので逆転写酵素です。



◇参考図書(amazonへのリンクです)
DNA (上) (ブルーバックス)

DNA (下) (ブルーバックス)

DNA複製の謎に迫る (ブルーバックス)





posted by new_world at 01:27| Comment(5) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最初の図のDNAとRNAの違いを見つけるだけで一苦労でしたよw

物理は苦手でしたが、自分の興味がある箇所はすごく深いところまで勉強したことを覚えています。(今となっては忘れていますが・・・^^;

学校でもそういった部分を見つけて伸ばすような教育をしてもらいたいですね
話がそれてしまいましたが、人間の神秘を再実感しました
Posted by kawausosan at 2005年06月09日 09:18
この話はおもしろいですね。これ関連の記事を書いてあとでTBさせていただきます。

ところでつまらないところですが、一つ確認を。

<ちなみにつづりは polymerase(=polymer+ase)です。だから、ポリマラーゼではなくポリメラーゼなのです。英語が音標文字から離れた所為です。>

とありますが、これは英和辞書の発音記号を確認していただければわかるように、polymerもpolymeraseもじつは同じ音で、「マ」でも「メ」でもないようです。アクセントのない母音はeをひっくり返したようなシュワーという音になっています。いやあ、ここがむずかしいです・・・。

「ポリマー」も「ポリメラーゼ」もしょせん日本語の音であり、おそらく前半部分は英語ネイティブには同じ音として聞こえていると思います。べつに「英語が音標文字から離れ」てはいないのではないでしょうか?

もちろん全く議論にとって本質的なところではないのですが、ちょっと気になりました。
Posted by graydorian at 2005年06月09日 10:57
kawausossan さん
もしかして、炭素が分かりませんでした?
炭素と書きながら、もしかして、分からない人いるかも、とかは思っていました。でも、何となく分かりますよね。

物理、懐かしいです。私も殆ど覚えていませんね・・・記憶って凄く上手くできています。使わないのはすぐに忘れるんですよね。

graydorianさん
すいません。発音記号まで確認していませんでした。
辞書で調べたら確かに同じ発音記号でした。

訂正しておきました。

ご指摘ありがとうございました。


アルファベットが音標文字であることには変わりありません。ただ、英語つづりは音標文字が本来持つべき“発音”の要素を失いつつあると思います。
かな文字のように綴りと読みが一致してこそ音標文字ではないかと・・・そう思っただけです。
Posted by new_world at 2005年06月09日 11:14
ちょっと見て目をふせてしまった私(∩∩*)ゞ
設計図?として見ると『なんじゃこりゃ〜』
ですけど、アートとして見ると奇麗でした(*´∇`*)
Posted by マチルダ。 at 2005年06月09日 11:35
こんなものでも30億並ぶとヒトの設計図になるんですよね。

見た感じも綺麗ですが、その機能も綺麗ですよ。
Posted by new_world at 2005年06月09日 12:05
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