2005年06月14日

セントラル・ドグマ

生物学の用語にセントラル・ドグマというものがあります。

なんかいかつい名前(?)ですが、難しいことではありません。

DNA→RNA→ポリペプチド→たんぱく質、という流れのことです。


1.転写
DNAは核の中にあります。核の中でDNAはRNAに読みかえられます。

2.スプライシング
そして、遺伝子の部分だけが抜粋されます(スプライシング)。

遺伝子だけ、というのは、DNAにはたんぱく質の設計図ではない部分が沢山あるからです。遺伝子とはたんぱく質の設計図の部分を言います。

3.翻訳(※)
スプライシングの後、RNAは核外に出ます。そして、RNAにリボソームという小器官がくっつき、設計図どおりにアミノ酸を並べていきます。→ポリペプチド

4.フォールディング(折りたたみ)
翻訳の際には出来たてのアミノ酸の鎖(ポリペプチド)に分子シャペロン(※)が所々くっついていき、アミノ酸の鎖(ポリペプチド)を正確な構造に折りたたみ、たんぱく質にします。

これがセントラル・ドグマです。


※翻訳
アミノ酸は20種類ありますが、DNAから読まれたRNAの塩基は4種類しかありません。

ですので、4進法で20種を識別するには3桁必要です。

よって、塩基が3つ集まって一つのアミノ酸を導きます。


その組合せが次の表です。(表ではアミノ酸は略記号で書かれています)

コドン表.jpg


こんな表で生物が組み立てられているかと思うと少し味気ないですね。

この表のような塩基を3つ一組にしたものをコドンと言い、その一覧表をコドン表と言います。

コドン表の中にアミノ酸を導かない3つの組み合わせがあります。

stopと書かれている部分です。

これはストップコドン、終止コドンと呼ばれ、遺伝子の終点を示しています。


また、遺伝子の開始点は通常メチオニンで示されます。Metと書かれている部分です。これを開始コドンと言います。

ただ、この端っこのメチオニンは要らないので酵素によって切り取られてしまいます。
どうしてメチオニンなのかは調べましたがわかりませんでした。

これまででてきた遺伝情報のコピーであるRNAをmRNA(メッセンジャーRNA)と言います。

そして、このmRNAのコドン3つ一組を認識するのは、tRNA(トランスファーRNA:運搬RNA)と呼ばれる小型のRNAです。

このtRNAはこんな形をしています。

tRNA.jpg


tRNAの下の丸いところ(Anticodonの部分)がmRNAのコドンを認識します。「認識」というは、3点で「結合」することです。

DNAが二本鎖を作るのと同じ「結合」です。

RNAもDNAほどではありませんが二本鎖を作る能力があるんです。

そして、上に伸びた赤い部分の先にアミノ酸がついています。

このtRNAをリボソームが呼び込み、組み合わせてアミノ酸の鎖を伸ばしていきます。

まぁ実物のtRNAは、この十字架みたいなものが折りたたんだ形をしています。



※分子シャペロン
シャペロンとは西洋の貴族社会における教育係のようなもので、舞踏会などにデビューする貴族の若い娘に付添って作法などを教えるおばさん(?)です。

分子シャペロンはできたてのポリペプチドに付添って、ちゃんとしたたんぱく質になれるように(=きちんとした形を取れるように)導くたんぱく質です。

因みに、ポリペプチドとたんぱく質の違いは、形です。

ポリペプチドという場合は単なるアミノ酸の鎖で、ポリペプチドが形を取っているものをたんぱく質と言います。

ポリペプチドは1次元で、たんぱく質は2次元・3次元の構造と言うことです。


◇参考図書(amazonへのリンクです)
DNA (上) (ブルーバックス)

DNA (下) (ブルーバックス)

DNA複製の謎に迫る (ブルーバックス)





posted by new_world at 06:01| Comment(3) | TrackBack(1) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中学生がいっきに大学生にワープした感じです(笑)
こんなの毎日やってたら頭パンクしそうです!
凄いですね。。。大学生って(*´∇`*)
Posted by マチルダ。 at 2005年06月14日 11:56
はじめまして、new_worldさん。
といってもちょくちょく覗かせてもらっていますが

まだ大学生なのに、いつも、よく勉強し、さらに一般の方にわかりやすく書いていてすごいと思います。
自分も生物の世界にいるので、見習わないと

で、翻訳開始のアミノ酸がなぜメチオニンなのかちょっと調べてみました(The Cell 第4版 p348参照)。
どうやら、翻訳開始には通常のメチオニルtRNAではなく、特別な開始tRNA(initiator tRNA)というものがあるそうです。
この開始tRNAのみが最初にリボソームと結合できます。開始tRNAはメチオニンとしか結合しないので、タンパク質の最初のアミノ酸はメチオニン(真正細菌の場合は修飾されたホルミルメチオニン)となるそうです。

ただ、どうして開始tRNAがメチオニンのみを認識するかについてはわかりませんでした。
タンパク質合成系がどのように生まれたのかという点で、大変興味がわくところです。

自分もこのことを知りませんでした。
こういう素朴な疑問はうっかり忘れてしまいがちです。
知識を増やす機会を与えてくれてありがとうございました。
Posted by miya11 at 2005年06月14日 20:35
マチルダさん
難しかったですか?残念・・・まぁ今回はちょっと捉えにくい内容ではありましたね。
寿命やアブラムシは目に見えますが、DNAやRNAは見えませんからね。

中学生でも分かるように書こうと努力していますが、なかなか難しいです。

miya11さん
miya11さんは生物学を研究されているようですね。
生物学をされている方には物足りない内容でしょう・・・。特に今は内容を削ることで分かりやすくしようとしているので・・・もっと詳しい内容を噛み砕いて説明できる表現力が欲しいです。


なるほど、確かにMetという情報だけだと区別はつきませんが、リボソームへの最初の結合が出来るものとすれば普通のMetと区別できますね。
やっぱり、どうしてメチオニンなのかは気になりますよね。
いつか分かればいいと思います。


私も勉強になりました。

ありがとうございました。
Posted by new_world at 2005年06月15日 00:06
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