2005年06月14日

アンフィンゼンのドグマ

前回のセントラル・ドグマとドグマつながり(?)のアンフィンゼンのドグマです。

前回言い忘れていましたが、ドグマとは“定説”と言った感じの意味です。宗教では教義と言う意味になりますが、勿論このドグマは宗教とは関係ありません。



このアンフィンゼンのドグマは、『アミノ酸の並び方が決まれば、たんぱく質の形は決まる』というものです。(たんぱく質はアミノ酸の連なった鎖です)

これを提唱したアンフィンゼンは1973年にノーベル賞を受賞しています。


まぁ、当たり前のようなことですよね。でも、このドグマは正確ではありませんでした。

確かに、これは間違ってはいないのですが、実際はこんなにシンプルな機構ではなかったのです。

アンフィンゼンは実験で、アミノ酸の鎖が自然と折りたたみたんぱく質になっていく、と証明しました。

しかし、これは試験管の中での話だったのです。


後の研究で、生体内では分子シャペロンがたんぱく質の折り畳みを行っていることが明らかになりました。

つまり、自然には折りたたまないと言うことです。


彼が間違えた理由は、生体内条件を満たしていなかったからです。

たんぱく質の合成が行われる細胞質内では高い濃度で様々なたんぱく質が存在します。

その為、互いに影響しあって、凝集してしまうんです。



だから、実際には分子シャペロンでくっつきやすい部分(疎水部分※)を保護する必要があるのです。


勿論、出来上がったあとには分子シャペロンは外れますので、その段階では安定な状態でないといけません。

つまり、完成形はそのアミノ酸配列のその環境でも安定的な形ということになります。

それが複数通りあることがあるんです。

プリオンなどがいい例です。悪性プリオンと正常プリオンの違いは構造です。ですが、両方の構造とも生体内で維持できるものです。


つまり、アンフィンゼンのドグマは、基本的に正しかったのですが、それを実行する為に細胞はかなりの努力をしているということです。


※疎水部分
水の中では疎水部分は水と反発しあって疎水部分同士で集まろうとします。水の上(中)で油が球状になるのと同じです。出来るだけ体積を小さくしようとするのです。

アミノ酸にも疎水的なものがあり、それらは水分の多い細胞質内ではお互いにくっつきあおうとします。

決められたものにはくっつかないといけないのですが、余計なものとはくっついてもらっては困ります。そこで、分子シャペロンがポリペプチドを保護して正確な形へ導いていくのです。


posted by new_world at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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