2005年06月20日

DNAとRNA

セントラルドグマ」の時に説明しましたが、一部のウイルスを除いた全ての生物(ウイルスを生物と呼ぶとして)はDNA→RNA→たんぱく質の流れ(=セントラル・ドグマ)で生命を機能させています。

DNAとRNAの構造的な違いは「DNAの構造」でお話したとおり、RNAから酸素が一つ抜けたものがDNAです。

また、もう一つの違いとして、DNAを構成する塩基はC、G、A、Tの4種であるのに対し、RNAはC、G、A、Uで出来ています。(C=シトシン、G=グアニン、A=アデニン、T=チミン、U=ウラシル)

つまり、RNAではウラシルUの所がDNAではチミンTになっているのです。


では、何故RNAではウラシル(U)なのにDNAではチミン(T)になったのでしょうか?



これの説明にはまず、DNA以前にあったと言われる(実はまだ分かっていません)RNAワールドについて説明する必要があります。

RNAワールドとはRNAが遺伝物質として働いていた世界です。

なぜこのような世界が考えられるかと言うと、一番の理由は単純に“RNAは生成しやすい”からです。

RNAは小さな有機物が紫外線などを受けることによって生成することができるのです。

ところが、DNAはそう簡単には合成できません。基本的にRNAからしか合成できません。

このDNAの合成の難しさから、最初の生命はRNAを遺伝物質にしていたと考えられるのです。


また、RNAは自らが酵素の役割も果たすことが出来るので、一番初めはRNAがRNAによって複製されていたかもしれません(確認はされていません)。



ところが、RNAは自らよりも優秀な酵素を見つけたのです。

たんぱく質です。

偶然、たんぱく質を合成できるRNAが生まれ、それの方が効率がよかったためにそれが生き残ったと考えられます。

そして、RNAは自らより優秀な遺伝物質も見つけたのです。

DNAです。

偶然、RNAの一部が還元され、酸素がとれDNAが生まれました。そのDNAは安定的に二重結合をつくり、二本の鎖がお互いに情報を補い合うことで配列の保存能率を上げた(※)のです。


そして、問題のウラシルです。

RNAは今でもウラシルを用いていますが、DNAはウラシルではなくチミンを使っています。
単純に考えると、わざわざ二種類の物質を使い分けるのは面倒です。

これの答えは次に示す構造にあります。

核酸の塩基.jpg

一番下の段のウラシルとチミンをよく見比べてください。

ご覧のとおり、メチル基(CH3)がついているかいないかの違いです。

つまり、ウラシルからチミンは合成できるのです。

そのため、ウラシルをチミンに変化させるのは大した仕事ではないのです。


ところが、ウラシルをチミンにすることによって得られる効果は大きいのです。

今度はウラシルとシトシンを見比べてください。

なんと、シトシンをデアミネーション(アミノ基NH2を取り除く)することでウラシルが生成されるのです。

つまり、RNAの「A」「U」「C」「G」では時々「U」が「C」に変わってしまうかもしれないのです。

そこで、「U」を「T」に変化させたのです。

そうすれば、「C」が「U」になっても「C」に戻すようにすることができ、遺伝情報を守ることが出来るのです。

勿論、C→U→Tや、C→メチル化→Tのように二段階でTに変化することは出来ますが、これは2段階なので中間で修正ができるのです。

保存することが役割である遺伝情報としてはウラシルよりもチミンの方が優秀だったのです。


こうなると、更に疑問になることがあります。

何故RNAはウラシルのままなのか、ということです。

と、実は知りません。すいません。

たぶん、RNAは、厳重保存の“遺伝情報”ではなく、すでにハンディーな“設計図”の役割になっているので、ウラシルをチミンに変える必要がなかったのではないでしょうか。

エネルギーを節約しているのかもしれません。



※DNAの修復
修復機構は数多くあるので、修復機構についてはまた次の機会に説明しますが、今回は、“二本鎖”であることがいかにDNAの保存能力を高めているかを説明します。

DNAは4種理の塩基ATCGを持っていますが、A→T、C→Gとしか結合できません。
つまり、片方の鎖が決まれば、もう片方の鎖は決まるのです。

3)ACTGGTCTGT(5という配列に対しては
5)TGACCAGACA(3という配列がもう片方に必ず来ます。

しかも、DNAは対象ではないので、2本が逆向きに重なれば、読み方は一つだけになります。

3、5というのはDNAの炭素の番号で、起点から何番目の炭素かという意味です。

ribose.jpg

この図の右がDNAなのですが、その3とついている炭素と5とついている炭素をリン酸がつないでDNAはつながっています。





DNA.jpg
DNAの構造はこんな感じです。

DNAは二本鎖ですが、複製されたDNAの片方はもとのDNAです。

つまり、二本鎖が二つに別れ、それぞれに当たらし鎖がつくことで二組のDNAが出来るのです。

しかも、古い鎖の方には一部にメチル基の修飾があり、その修飾が目印になって新旧を見分けることが出来ます。

そのため、DNAの合成のミスに気付くことができるのです。

このように二本鎖であることで配列の保蔵能力を格段にあげることができるのです。



◇参考図書(amazonへのリンクです)
DNA (上) (ブルーバックス)

DNA (下) (ブルーバックス)

DNA複製の謎に迫る (ブルーバックス)





posted by new_world at 20:07| Comment(5) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
きゃ〜(/_<) わからない〜(笑)
奇麗なアート(*´∇`*)
質問していいですか?
薔薇はどうして青ができないんでしょうか?
絵の具みたいに、赤と緑を混ぜて青を作るように
赤い薔薇と緑の薔薇をくっつけたら
青い薔薇ができるような気がするんですが。。。(笑)
すみません、変なこと聞いて。。。
Posted by マチルダ。 at 2005年06月20日 22:06
赤と緑で青ってできましたっけ?
たぶん濁った黄色(黄土色とかかな)になると思うんだけど

緑から黄を抜くと青っぽく(水色)なると思うけど
それがムズイのではないかな。
Posted by kwkm at 2005年06月20日 23:09
マチルダ。さん
調べたところ、植物の色を出す仕組みは似通っていて、限られた色素を多くの植物が使っているようです。そのうち青色をだす遺伝子がバラには含まれていなかったようです。バラには赤っぽい色素しかないそうです。
ですから、どれだけ掛け合わせて品種改良しても出てこなかったのです。

現在は、遺伝子組み換えが可能なので、パンジーなどの青色の花を咲かせる植物から色素を発現する遺伝子を取り出して、バラの遺伝子に組み込んで青いバラを作っているようです。
Posted by new_world at 2005年06月21日 03:32
kwkmさん
青+黄=緑だった記憶はありますが、どうだったでしょうね・・・
Posted by new_world at 2005年06月21日 03:41
やっぱり考えてるほど単純じゃないんですね(*´∇`*)
赤と緑で青じゃなかったですか?(笑)
いい加減ですね、私も(笑)
たぶんってことで許してください(∩∩*)ゞ
Posted by マチルダ。 at 2005年06月21日 11:47
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。