2005年06月21日

シグナル説1 小胞体輸送

※ここでは細胞内の小器官の説明はしていないので、それを知らないとイメージがわきにくいと思います。すみません・・・。

タンパク質は細胞質で作られるのですが、その後、細胞質内、核内、細胞外、細胞膜表面、ミトコンドリア内などそれぞれ決められた場所に運ばれていきます。


では、どのようにして細胞は行き先を判断しているのでしょうか?


実は、タンパク質のアミノ酸配列の一部が宛先になっているのです。

このような考えをシグナル説といいます。


特に有名なものが小胞体行きの宛先です。小胞体とは、細胞内にある“泡”のような器官です。

細胞膜表面に出るタンパク(膜タンパク)や細胞外に出るタンパクは、最初に読み取られる部分=最初に作られるアミノ酸の列が特別な配列(シグナル配列)をしていて、それを認識したリボソーム(アミノ酸を並べるタンパク)は小胞体へ向かいます。


では、なぜ小胞体に移動する必要があるのでしょうか?


それは、タンパク質が細胞膜を通過するのがきわめて難しいからです。

タンパク質は形を作ってからではかさばるので細胞膜を通過できません。

これは、細胞の内部と外部ではイオンバランスなどが異なり、細胞膜には大きな穴が開けられないことが理由です。形が出来たタンパク質が通れるような穴をあけるとイオンの移動などが起きて大変なことになります。


そこで、細胞は小胞体を利用するのです。

なぜ、小胞体なのかと言うと、膜で覆われた小胞体の内部は細胞の外部と見れるからです。

膜の構造の時に説明したとおり、膜は流動性があり、酵素を用いれば分裂や融合は容易に出来ます。ぺたっと細胞膜にくっついて融合し、膜外と小胞体内をつなげることができるのです。

つまり、◎の内側の○の中は外側と見ることも出来るということです。



そこで、リボソームは、タンパクを作り始め、小胞体行きのシグナルを認識したら、小胞体に頭を突っ込んで、小胞体の中にアミノ酸の糸を注入していきます。そして、小胞体の内部でタンパク質の形が形成されるのです。


その際も、細胞質-小胞体間で物質の移動が行われないようなシステムがとられています。

つまり、細胞質内の物質を小胞体内(≒外)に出さないような仕組みです。

アミノ酸の鎖が通る穴はリボソームが乗らないと開きません。つまり、外側からふたがされるまで開かないのです。

そうやって、小胞体にアミノ酸の鎖が注入され、小胞体内でタンパク質が形作られます。

そして、タンパク質を入れた部分が分離され、移動可能な小さな小胞体になります。まぁ“小包”みたいなものです。

その“小包”にも宛先が付けられており、多くはゴルジ体と呼ばれる器官に移動し、膜が融合してゴルジ体に取り込まれます。

ゴルジ体で修飾など最後の手直しを受けて、再び切り離され細胞膜などへ向かいます。細胞膜へついたら膜が融合して、タンパク質が放出されたり、膜にくっつけられたりします。



一方、小胞体を使わない輸送もあります。

これはミトコンドリアや核に運ばれるものです。ミトコンドリアの膜や核膜は直接タンパク質が通れるのです。


核膜に関しては単に“穴が大きい”のが理由です。タンパク質はある程度構造をとっていても入れます。


一方、ミトコンドリア行きのタンパク質は、分子シャペロンによって、複雑な構造がとられないようになっているようです。

ミトコンドリアにタンパク質を押し込む機構は詳しくは分かっていませんが、分子の自然な動きを利用していると言われています。

どういうことかというと、分子シャペロンなどによってミトコンドリアまで着いたアミノ酸の鎖(ポリペプチド)は、ミトコンドリア表面のタンパク質に誘導されミトコンドリア上の穴にポリペプチドの先端を突っ込みます。

そのあと、水の熱運動などでポリペプチドがふらふら動き、先端がちょっと先まで行くと、入ったポリペプチドにある種のタンパク質がくっついて元に戻らないようにします。


手がギリギリで通る穴の開いた箱の中に石が入っているとき、その石をつかむと手は取り出せませんよね。それと同じ仕組みです。

入った部分は出られないので、ふらふらしているポリペプチドは自然と内側へ内側へ入っていくことになるのです。

まぁ核膜やミトコンドリアへのタンパク輸送についても、よくわかってないことが沢山あります。


とりあえず、アミノ酸配列の一部が“宛先”になっていて、それを酵素などが認識して運んでいるのは確かです。


以上、シグナル説と小胞体輸送でした。


posted by new_world at 02:52| Comment(3) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ごめんなさい。突然失礼致します。
内容を拝見させていただきました
タンパク質輸送の発想はEメールの自動振り分けの発想
に似ている感じがしました。
タンパク質輸送の仕組みって面白いですね。
それから、コメントありがとうございます
返事を書いておきました
時間があればのぞいてみてください
Posted by blog7 at 2005年06月21日 18:22
いつも興味深く拝見させてもらってます。
そのうち、リセプターの話が出てくることを期待しております。
(いわゆるリクエストみたいな感じです)
Posted by south_of_the_border at 2005年06月22日 00:19
blob7さん
細胞も考えていますからね。細胞内の分子の動きは私たちのやっていることと共通する部分がかなりあります。ほんと面白いです。

お返事、拝見しました。

south_of_the_borderさん
シグナル伝達とかですか?
考えておきます。ご期待に副える内容になるかは分かりませんが・・・。

リクエスト(?)、ありがとうございました。
Posted by new_world at 2005年06月22日 06:35
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