2005年06月23日

シグナル伝達

膜のときにお話したとおり、膜は親水-疎水-親水のサンドイッチのような構造をしており、内側に大きな疎水部分をもつので、イオンや親水性の物質は通過することが困難です。

そのため、イオンや親水性の物質による情報伝達(シグナル)は細胞膜に浮いた膜タンパクの一種である受容体タンパクで受け入れます。

一部には疎水性の伝達物質(シグナル分子)もあって、それは膜を透過できる(受容体は細胞内にある)のですが、殆どのシグナル分子が親水性で受容体は膜にありますので、今回はシグナル分子が親水性であるとして話を進めさせていただきます。



受容体は特定のシグナル分子と結合することで膜の内側へ変化を生じさせ、この変化が細胞内で増幅されて様々な現象を誘導しています。

この機構は生物の多細胞化には必須の機構で、これによって多細胞生物は“細胞の社会”をコントロールしています。


まず、シグナル分子についてです。

シグナル分子には、細胞から放出された後、

1.血液などに乗って遠方まで到達するもの(ホルモン)

2.放出されても近隣の細胞までしか届かないものも

3.神経のシナプスのように狭い間隔の間を伝わるもの

4.細胞膜上に存在して接触している隣の細胞にしか伝わらないもの

などがあります。


それぞれが状況によって使い分けられています。

発生の時などは4の接する細胞間のシグナル伝達がかなり利用されていますが、体が大きくなると、血液や体液を利用した1や2の伝達が多くなります。



また、同じシグナル分子を受容しても、細胞によって異なる反応が生じることは珍しくありません。

これは、シグナル分子は単なる仲介であって、反応とは無縁であることを示しているといえます。


また、細胞は多数のシグナルを“組み合わせ”として認識しており、数百種類のシグナル分子で数百万通りの情報を認識できるようになっています。

特に、高等生物の場合は、その巨大な細胞社会を成り立たせる為に、このシグナルを生存条件にしています。

つまり、決められたシグナルがない場所では生きていけないのです。

もし、決められたシグナルが受信できない環境に追い込まれたら、細胞は自殺します。

これによって、細胞は決められた場所(環境)にだけ存在するようになるのです。

まぁ私たちでいう空気みたいなものです。地球の空気のないところでは生きていけませんよね。



一方、受容体の方ですが、受容体にも様々な種類があります。

1.シグナル分子が結合することで受容体の構造が変化し、入口が開いてカリウムイオンなどの小さなイオンを通すもの

2.シグナル分子が結合することで受容体の構造が変化するなどして細胞内のタンパク質と相互反応し活性化させるもの

3.受容体に結合したシグナル分子同士がくっついて受容体同士を近づけることにより細胞内で反応を起こすもの

などがあります。


1,2はまぁ何となく分かるでしょうけど、3は結構凄いです。今回は3だけ説明します。

3はあまりにも間接的だったため、初め、機能がよくわかりませんでした。

受容体の構造を調べても、膜の内側の方にリン酸化酵素がついているのはわかったのですが、膜の外側から内側に情報を伝える方法が見つからなかったのです。

つまり、その受容体はシグナルを認識しても特に変化が生じないのです。


ところが、調べていくうちに面白いことが発見されました。

その受容体は2本で一組になって情報を伝達していたのです。

シグナル分子と結合した二つの受容体が別々に膜上を漂っているとします。そして、偶然二つが近付いた際にシグナル分子同士が相互反応して結合したとすると、二つの受容体がちかくで固定されることになるのです。

このように、シグナル分子同士が結合するように出来ていると、受容体の膜の内側にあったリン酸化酵素が活躍できるのです。

つまり、細胞外でシグナル分子につなぎとめられたこの二本の受容体は、細胞内ではお互いにリン酸化しあうのです。

そのリン酸化によって情報を下へ伝えていたのです。



以上がシグナル伝達の一番基礎の部分です。中途半端ですが・・・

このようにシグナル分子と受容体の結合によって膜内に情報が伝えられるのですが、伝えられた情報は受容体→A→B→Cのように連鎖的に伝わりながら増幅されます。

シグナル-受容体は限られた数しか用意できませんので、細胞内で必要な量まで増幅されているのです。

この膜の内側の増幅の方法も面白いのですが、これは複雑で、文章ではかなり苦しくなります。

私の表現力では無理です。

それはまた別の機会に少しずつでもお話したいと思います。

シグナル伝達というのは情報の伝達ですので、体のあらゆるところで行われています。
そのため、神経系から免疫系まであらゆる部分で受容体やシグナルは活躍しています。

ですから、これ以降はその都度紹介させていただくことにします。


posted by new_world at 06:45| Comment(6) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
凄いですね。。。
私と同じ人間ですよね?(笑)
何が違うんですかねぇ〜(*´∇`*)
Posted by マチルダ。 at 2005年06月23日 11:39
いや、凄くないですよ・・・今、殆どミクロの生物学しかしていないんですから。

記憶力が足りなくて、入っては出て行くので捕まえておくのが大変です。
Posted by new_world at 2005年06月23日 23:20
こんばんは。
リクエストにお答えいただき、ありがとうございます。

しかしながら、理解力に乏しいため、何度か再読させていただいてから改めてコメントしますね。

ブラジル戦の余韻にやられちゃっているので・・
Posted by south_of_the_border at 2005年06月24日 01:23
ブラジル戦、改めてブラジルの凄さを感じました。
終始押されっぱなしで引き分けに持ち込んだ日本は凄いと思います。

ブラジルの選手の華麗なパス回しに私は感動しました。後ろにも目がついているんじゃないかと思ったくらいの的確はパスです。それに比べ、日本のパスはすぐにカットされて・・・

でも、日本のゴールシーンは二つとも豪快でよかったです。
Posted by new_world at 2005年06月24日 01:52
こんばんは。
膜タンパク+膜の流動性=ひょっこりひょうたん島、というイメージですが、面白いです。
生命の機構を知るほどに、「誰がこの精密機械を作ったのか」という疑問が浮かんできます。
Posted by south_of_the_border at 2005年06月25日 03:01
誰が作ったんでしょうね・・・ほんと上手く出来すぎていると思います。

膜の動きは重要で、免疫系などでもかなりポイントになってきます。
Posted by new_world at 2005年06月25日 04:49
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