2005年06月24日

シグナル説2 核膜輸送

細胞の中には核があります。私たちのDNAは核の中に収納されているのですが、私たちの体を作っているタンパク質は核の外の細胞質で作られます。

核の中のDNAから情報をもらって、核の外で設計図どおりにタンパクを組み立てるのですが、そのためには、DNAを読むタンパクを核内に呼び込み、DNAをRNAに読み替えてもらい、出来たRNAは核外に運ぶ必要があるのです。

私たちの細胞は常に核の膜(核膜)を通して大量の物質を交換しています。

シグナル説1 小胞体輸送」の時にも少しお話しましたが、細胞膜の穴に比べ、核膜の穴は大きくて、結構大きなタンパク質でも通ることが出来ます。

核膜にある穴を核膜孔と言うのですが、これが面白い形をしています。

核膜孔

細胞質側には8本の糸状の物、膜中には穴、核の内側の方にはバスケット状の物があります。

勿論、これとまったく同じ形をしているわけではないのですが、似たような形をしています。

かならずバスケットが核の内側の方を向いています。


このように、形は上下非対称ですが、内→外も外→内も両方通すと考えられています。

ただ、まだ完璧には証明はされていません。どうして対称な形をしていないのか?、や、どうして一方通行にして両側に作らなかったのか?、などは分かっていません。



核膜孔は大体ヒトの細胞であれば核一つに対して3000個程度あります。といっても、あまり実感はわきませんね。

これは結構多い数ではあるのですが、この核膜孔、一秒あたり最大で数十〜数百のタンパクを通しています。多忙なようです。


この核膜孔は大きな穴で、小さい分子(9nm以下)であれば、そのまま自由拡散します。

水や小さめのタンパクなら普通に通ります。まぁザルを水が通るような感じです。

この穴は最大で39nm、小型のウイルス(ノロウイルスなど)くらいは通過できます。

ただ、これくらい大きなものは“輸送タンパク”が必要になります。

なぜ輸送タンパクが必要かと言うと、この穴の中心部には疎水性の“網”があるんです。まぁでも、結構柔軟な網です。

核は二重のザルのようなものです。

大きな穴があって、その穴に小さな網(膜?)が張ってある感じです。


9nmより小さいものであればその網を通過できますが、大きいものはその網を変形させて通らないといけません。

変形させるとはいっても、強引に破るんじゃないんです。


“疎水性”の網と書いたとおり、網の“糸”は疎水性の結合なんです。

ですから、疎水性の物質が来ると、網と融合するんです。その働きをするのが輸送タンパクです。

輸送タンパクの表面の一部は疎水結合が可能なように出来ていて、網と融合して、す〜って通っていきます。



次に“輸送タンパク”について少し詳しくお話します。

輸送タンパクには大きく分けてexportinとinportinがあり、名前の通り核内→核外がexportinで核外→核内がinportinです。

また、このタンパクの活性を調節するタンパクがRanタンパクで、これはGTP、GDPと結合します。

GTPとはGuanosine TriPhosphateの略でグアノシン三リン酸。三つのリン酸を持っています。そのリン酸一つが取れてGuanosine DiPhosphateとなったのがGDPです。


GTPと結合したRanタンパクをRanGTPと表わします。



核膜輸送の仕組みはこうです。

核膜輸送

まずexportinはRanGTPと結合することで荷物と結合できます。

まずはこの3点セットで核膜孔を通ります。

通った先の細胞質側にはGTPからリン酸を一つ奪う酵素があって、GTP⇒GDPになります。

そうなると、Ranタンパクはexportinと結合できなくなり、そうすると荷物が離れるのです。

そして、単体になったexportinは再び核膜を通過して核内に戻り、RanGTPと結合することで荷物と結合し・・・(繰り返し)



次にinportin。

inportinは何もついていない状態で荷物と結合し、核膜と通過します。

核膜を通過するとRanGTPに結合されて、nportinは荷物と結合できなくなります。

そして、RanGTPとinportinの複合体は核膜を通過して細胞質側に戻ります。

そうすると、細胞質側ではGTPからリン酸を一つ奪う酵素が働き、GTPがGDPになってRanタンパクはinportinから離れます。そして、再び荷物と結合して・・・(繰り返し)

離れたGDPは他のタンパク質に誘導されて核内に戻り、リン酸化されてGTPに戻ります。


ポイントはRanタンパクに結合するGTPが細胞質側では脱リン酸化されてGDPになり、核内ではGTPであるということです。

つまり、GTP、GDPで核内外を認識しているのです。


これはこの核膜輸送以外にも使われています。一種のシグナルと言えます。



参考HP:理研


posted by new_world at 21:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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