2005年06月29日

お稽古事と科学者

江戸時代の庶民や武士にはお稽古事が流行しました。

西洋人にとっては理解しがたい趣味も多くあったようで、日本を訪れた西洋人はその驚きを記録に残しています。

たとえば、花づくりです。
ヨーロッパの人にとって花づくりは上流階級が行うものでしたが、日本の町では貧相な長屋でも花が咲き誇っていました。
19世紀初頭に朝顔が流行した時には、町人たちはお互いの花を交配しあって珍しい花を咲かせようと必至になっていたそうです。植物の遺伝についてもちゃんと知っていたんですね。
他にも、絵画や演劇、高度な数学までもがお稽古事でした。

ただ、ここで特徴的なのは、これが決してお稽古事という趣味の領域から出ないと言うことです。これらのお稽古事はあくまで趣味であって、それを実用的に利用しようと言う考えはなかったようです。

純粋に楽しむことだけが目的なのです。

神社に高度な数式とその解法を書いた絵馬が奉納されることはあっても、それが土木や建築に利用されるようなことはありませんでしたし、珍しい朝顔作りには必死になっても、食糧の品種改良は行いませんでした。

当時の西洋人や現代の私たちからすれば、それはどう見ても“科学”なのですが、当時の人にとっては“趣味”でしかないのです。

お稽古事に医学までもが含まれていたのも興味深いところです。


なんか科学者みたいですよね。

現代の科学者の多くは自分の好奇心を満たす為に研究を行っています。特に大学の教官などはその傾向が強いです。企業の研究者は実利を伴う必要がありますが、大学の研究者は“学問的価値”というよくわからない基準で研究しています。
化石の分類をしたり、熱帯雨林のヘビの調査をしたりと、どうみても本人が楽しんでいるだけじゃないかと言う分野が結構あります(勿論、役に立つ分野も沢山あります)。

江戸時代の庶民もただ楽しむ為だけに植物の遺伝を操作していたのです。



余談ですが、お稽古事の発展を支えたのは日本独自の家元と言う仕組みだと言われています。
大きな町には各分野の家元が居り、町人などに芸事を教えていました。まぁ芸事と言っても、茶道や華道だけではなく、数学や医学、植物遺伝学も芸事ですけどね。

今でも、趣味でテニスをしたり手芸をしたりする人は結構いますね。ですが、なぜか趣味で科学をする人は殆どいません。

科学も面白いんですが・・・
全く役に立たない辺りが受けが悪い理由なのかもしれません。
それに、科学はどうしても『勉強』と言う嫌なイメージから抜け出せませんからね・・・



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posted by new_world at 01:49| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本の歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
え〜、お馬鹿な私は科学が何かがわかりません(笑)
科学と聞くと沢山道具が必要な気が。。。
三角フラスコ?とかくるくるするイメージしか
ないですね(*´∇`*)
Posted by マチルダ。 at 2005年06月29日 11:35
趣味は趣味のまま、実用的に利用することを考えないのは日本人らしいですね。(^^;)
のんびりしてるんでしょうか。
なんかステキな国に生まれてちょっと嬉しいです。
Posted by おい at 2005年06月29日 14:23
マチルダ。さん
科学って別に自分で研究しなくても、書籍や雑誌を読むだけでも面白いですよ。

おいさん
そういった事に価値を感じなかったんでしょう。
実用的になることを嫌っていたのかもしれませんね。
Posted by new_world at 2005年06月29日 15:07
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