2005年07月23日

獲得免疫の主役達〜T細胞とB細胞〜 1.機能

久々の、免疫シリーズ第6弾、今回はT細胞とB細胞の違いについてです。
ちょっと長くなるので、予定では
1.『細胞の機能』
2.『抗原の認識・多様化の獲得』
3.『MHCと免疫の個人差』
4.『胸腺学校の教育方針』
みたいな感じで何回かに分けて進めて行きたいと思います。


『ヘルパーT細胞』とか『抗体』といった単語は聞いたことがあると思います。

ヘルパーT細胞は他の免疫系を活性化させる司令塔で、抗体はB細胞が分泌するタンパクです。

T細胞やB細胞というのはいわゆる白血球です。



そもそも、T細胞もB細胞も同じ種類の幹細胞(リンパ系の幹細胞)から生まれます。

そのリンパ系の幹細胞は骨髄にあるのですが、T細胞になるものは途中で胸腺という臓器に移動します。

胸腺って余り聞かない名前ですが、T細胞のTは胸腺ThymusのTです。

因みにB細胞は骨髄Bone marrowのBです。

両者の名前は各細胞が“教育”される場所を指しています。


“教育”とは“自分を攻撃しないようにする”事と“適切に機能する”事を教えることです。(教えるというか・・・ダメなものは殺す?)

それはT細胞とB細胞の機能の大きな違いから、別々の場所で行われることになっています。

今回は、T細胞とB細胞の機能について簡単に説明したいと思います。



○T細胞:T細胞は大きく分けて2種類あります。

1.キラーT細胞=『ウイルスに感染した自己細胞を殺す』
2.ヘルパーT細胞=『他の免疫を活性化する』

この二つのT細胞の大きな違いは、認識する媒体です。

T細胞は両方とも細胞が提示する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質によって情報を得ます。

MHCは移植などの時に調べられるものです。これについてはまた別の機会に説明したいと思います。

MHCタンパクは細胞内のアミノ酸の鎖(=ポリペプチド)と結合して、細胞の表面に発現し、細胞内の情報を細胞外に提示するのが仕事です

その提示すべきものが二種類あるのです。

そのため、MHCは二種類あり、それは二種類のT細胞に対応しています。

1.のキラーT細胞に結合するMHCタンパクは『細胞質内で作られたポリペプチドの破片』と結合して提示します。

一方、2.のヘルパーT細胞に接合するMHCタンパクは『細胞外から取り込まれ、細胞内で分解されたポリペプチドの破片』と接合して提示します。



まず1.のキラーT細胞用MHCタンパクです。

ウイルスに感染した細胞はウイルスが必要なタンパク質を作らされます。

そのため、タンパク質合成が行われる細胞質内にはウイルス遺伝子由来のアミノ酸の鎖が存在するのです。

それを細胞表面に提示することで自分がウイルスに感染していることを伝えます。

また、ウイルスは遺伝子を取り込んでしまう為、一度ウイルスに感染した細胞は元に戻ることは出来ません。

よって、全てキラーT細胞の命令で自殺します。

次に2.のヘルパーT細胞用MHCタンパクですが、上に書いたとおり、これは外部から取り込み分解した異物のタンパク質の破片のポリペプチドをその上に乗せて提示します。

そのため、強い“取り込む”作用を持つ免疫細胞マクロファージなどの細胞にしかこのタイプのMHCは存在しません。

異物はある種の小胞体を使って取り込まれるため、このMHCタンパクはその小胞体を認識して現れます。

取り込まれた異物はマクロファージ内の小胞体で分解され、その断片が提示されるのです。

それによって、その細胞内への異物の侵入がT細胞に伝えられ、その細胞は活性化され、内部では異物の消化・駆逐がより効率的に進むようになります。


つまり、
1.『細胞内で出来た異物』を提示するMHCタンパク
  →キラーT細胞が認識
  →自殺命令
2.『細胞外の異物を分解産物』を提示するMHCタンパク
  →ヘルパーT細胞が認識
  →免疫活性化

ということです。


posted by new_world at 02:14| Comment(6) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
8才の息子にT細胞、B細胞って?と聞かれます。
たまたま目にした本に「血液」の話が掲載されていたからです。
ちょっと、この欄を読ませて見ます。
血液の本も借りてきていて、夏休みの読書感想文にするそうです。

あっ、決して賢くはなく、親と一緒でマニアックな奴のようです。
Posted by waterpark at 2005年07月25日 08:02
8歳ですか??
すみません、小学生は想定していませんでした・・・ちょっと読みにくいですよね。

8歳でB細胞ですか。凄いです。私なんて高校生の頃でもB細胞が一体どんなものかなんて知りませんでした。


何でも興味を持つことが大切ですよね。

血液は凄いです。免疫や栄養・酸素以外にも、沢山の情報伝達物質などが行きかっています。細胞同士がコミュニケーションをとっているのです。
習うたびに、『こんなの絶対に覚えきれない』と思いますね・・・生命はなぜこんなに複雑でなくてはならなかったのか、と不思議に思うくらいです。

でも、それぞれが必要で、存在価値がしっかりあるところが、生命の凄いところです。
Posted by new_world at 2005年07月25日 16:43
看護学生です
微生物のテストの為に免疫の基礎のところ
まあ、解剖のところから勉強していてたどり着きました

とても参考になりました
痒いところに手が届く感じです
Posted by Nanacchi at 2006年07月16日 22:19
Nanacchiさん
お役に立てたのであればよかったです。
Posted by new_world at 2006年07月17日 23:33
物理学科ではありますが、何故か生化学の勉強をしております。
非常に分かりやすくありがたいです。
Posted by ma at 2010年05月23日 22:09
maさん
ありがとうございます。
学生当時は免疫も結構詳しかったのですが、最近は全然勉強してないんでさっぱりです。

若干時代遅れな内容になってしまっていますが、お役に立てたのであれば良かったです。
Posted by new_world at 2010年06月13日 15:59
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