2005年07月24日

獲得免疫の主役達〜『T細胞』と『B細胞』〜2.抗原認識

免疫シリーズ第7弾、前回の続編、『T細胞とB細胞の抗原認識と多様性の違い』です。

T細胞もB細胞も特異的な抗原認識能力を備えていますが、それは特徴的な受容体によるものです。

両者の持っている抗原認識受容体は同じものから進化したと思われ、形はよく似ています。しかし、それぞれの仕事に適応して個性を持っています。

T細胞は前回はなしたとおり、MHCタンパクに乗った短いポリペプチドの抗原を認識しますが、B細胞は体内で浮遊している大小さまざまな抗原(異物)を認識しなければなりません。

そのため、T細胞、B細胞の抗原認識受容体はちょっと違います。

B細胞の受容体である抗体の多様性の獲得は以前紹介したように
1.遺伝子組み換え&ランダムな接続部
2.H鎖、L鎖の組み合わせ
3.高頻度突然変異


一方、T細胞の受容体は
1.遺伝子組み換え
2.二つの鎖の組み合わせ

だけで、3.の突然変異は行いません。

これは次のように説明できます。

様々な異物とくっつかなければならない抗体と異なり、T細胞の受容体はMHCタンパクという決められたお皿にくっつき、そのお皿に載っている小さな破片を読み取るのが仕事です。

よって、変異が生じてMHCタンパクに結合できなくなると仕事が出来ないのです。

また、T細胞が変異して、自己細胞を他者と認識するようになると、次から次に自己細胞を殺していくことになります。

しかし、それならB細胞も突然変異で自己を認識する抗体を作るようになると大変・・・と思いますが、実はそうでもないんです。

なぜなら、B細胞はヘルパーT細胞によって活性化されないと抗体を産生しないのです。

つまり、自己抗原にヘルパーT細胞が反応し活性化しなければ、B細胞が活性化されることはないのです。

むしろ、突然変異によって得られる利益の方が遥かに大きいのです。

だから、B細胞は突然変異を起こしてもT細胞は突然変異を起こさないように出来ているのです。

また、抗原認識の方法ですが、T細胞の場合、MHCタンパクという“お皿”に乗った物しか認識しなくていいので、MHCタンパクと結合する周辺部の多様性はかなり低く、抗原を認識する中心部だけが特化して多様化しています。

しかも、くっつきやすいように腕は動かず、Yの字ではなく“I”の字をしています。

一方、B細胞の受容体や抗体は、どの方向から来るか分からない抗原を認識しなければならないので、“両腕が動き”且つ“広い範囲で多様性を獲得”しています。

以前、免疫グロブリン(抗体)がYの字をしていましたよね。

このYの字の枝分かれ部分は自由に動けるのです。

つまり、Yの開く角度は様々に変化でき、様々なサイズの抗原に対応できるのです。


ところが、T細胞の場合、MHCタンパクに乗ったものしか認識しなくていいので、動かずにT細胞の抗原認識受容体はIの字をしています。

ちょうど、Yの字の枝分かれの片方だけがあるような感じです。

このように、T細胞とB細胞は似たような方法(遺伝子の切り貼り)で無数の異物に対応する仕組みを得ているのですが、その性質に合わせて独自の進化をしています。

ちゃんと、適応して行っているのです。


posted by new_world at 02:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たびたび失礼します。

T細胞の抗原認識について
アニメーションが紹介されていました〜。

http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sf/multimedia/imm_01e/n/x.html
たまたま見つけたのですがわかりやすいです!笑
Posted by 小波 at 2006年05月15日 19:03
小波さん
わざわざありがとうございます。

著作権の問題で、できるだけ図は使っていないんで、こういったものは説明し辛いんです・・・
Posted by new_world at 2006年05月16日 23:55
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