2005年07月25日

獲得免疫の主役達〜T細胞とB細胞〜3.MHCと免疫の個人差

免疫シリーズ第8弾、MHCとそれによる免疫の個人差の成立についてです。

ヒトのMHCはHLAと呼ばれ、「キラーT細胞と結合するMHCタンパク(クラス1)」が3種(A,B,C)、「ヘルパーT細胞と結合するMHCタンパク(クラス2)」が3種(DP,DR,DQ)あります。
ただ、6種それぞれは恐ろしいほど種類(数百種)があります。

そのため、父由来、母由来で同じMHCが来る可能性は殆どありません。
多様性をます為に、ここでは“優性遺伝”のようなものが生じず、“両優性遺伝”、つまり、両方とも発現するように出来ています。よって、大きく分けて6種類、それがそれぞれ2種類ずつで最大で12種類が存在します。

では、なぜ、12種類持つのではなく、6種類×2なのでしょうか。
これは、12種類にすると、認識するT細胞が大変だからです。それだけ多くの鋳型に対応しなければならなくなります。また、どうせ似た物を作るのなら、似た物を12種類それぞれの遺伝子が持つより、両方から6種類ずつ持ち寄った方が効率がいいでしょう。


あと、この12種類それぞれが抱える数多の種類は、あくまで“対立遺伝子”であって、抗体の時のように、一つの遺伝子並んでいるわけではありません。人それぞれ持っているものが違います。普通の“遺伝”です。

少々苦しいですが、MHCの種類の多さをカレー屋さんにたとえてみます。
あるカレー屋には、カレーが395種、ご飯が195種、お漬物が93種あり、そして、付け合せに、サラダが646種、ヨーグルトが900種、飲み物が1691種ある、とします。

そこから一つずつ選んでください。(種類は実際の数字です。前半3つはクラス1、後半3つがクラス2です)

ランダムに2組選べば同じ組み合わせが生じる可能性はまずないことは一目瞭然です。つまり、両親由来の6種類は父母で異なることが普通なのです。

それもあって、共優性という両方の性質を発現させる仕組みの効果がより高まるのです。

この多様性は病原性への耐性へ影響します。

つまり、MHCタンパクというのは種類によって、細胞内に侵入した異物や細胞内で繁殖しているウイルスに対する適合性に差があるので、各個体によって、ウイルスや病原体の提示しやすさが異なります。
そのため、ある人は速やかに抗原が提示され被害が最小限に抑えられるのに、他の人ではそれが遅れて大きな被害を受けるという事態が生じるのです。

これは免疫の個人差を生じる大きな理由です。

これによって、生物は特定の病原菌によって種が絶滅しないようになっているのです。

ただ、ある種の病原微生物が長い間存在してきた地域では、それに効果的に反応するMHCを多くのヒトが持っている場合もあります。


※MHCの大きく分けた種類が少ない理由
わざわざ3種類それぞれを何百にも分けた理由は、最初の方で説明したようにT細胞の認識を容易にするためです。
沢山の鋳型があるとそれに対応して様々なT細胞を作らなければなりません。余計な労力がいるのです。
ですから、大きく3種類にし、内側を重点的に変えたのです。これは、T細胞の多様性獲得と同じです。

必要なところだけを多様化させたのです。

ただ、それでは適応できない構造があったので、3種類のパターンをもっていると考えられます。


posted by new_world at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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