2005年09月13日

鳥の呼吸

前回は水を循環させるカニの呼吸を取り上げましたが、今回は陸上生物の中で最も運動神経に優れ、最も効率的な酸素供給が求められる種族、鳥類の呼吸法についてです。



鳥の呼吸の特徴は、何と言っても『酸素供給の持続』です。

私たちのような鳥類以外の肺呼吸の生物は基本的に息を吐くときには酸素を取り込めません。ただ、そこまで激しい動きはしないのでそれで問題ないんです。また、鳥類のように空気の薄い地帯にも生息していません。

しかし、鳥類は、あの小さな体で卓越した運動神経を長時間維持し、空気の薄い高い地域でも動けます。その為には効率のよい酸素供給が必要なのです。

そのため、第二の肺を作ったのです(作った理由はまた少し違うのですけど・・・)。
ただ、単に肺を二つ作るのではなく、スムーズに酸素が供給されるように、片方はただの袋です。この第二の肺とは、“気嚢(きのう)”と呼ばれる肺に隣接した器官で、気嚢が常に肺に酸素が供給されるという優れた呼吸を可能にしています。

普通の肺呼吸であれば、肺への酸素供給は1⇒0⇒1⇒0となっているのですが、鳥類は1⇒1⇒1⇒1となっているのです。これは2⇒0⇒2⇒0とするよりも安定した供給であり、長時間飛び続けたりする鳥類にとってはこちらの方がよかったのでしょう。

気嚢は肺の前後二箇所にあります。それを気嚢A、Bとすると、鳥類の体内では気管⇒気嚢A⇒肺⇒気嚢B⇒気管という空気の流れがあるんです。

まぁ言葉で説明するのは面倒なので、次の図を見てみてください。


気嚢システム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな感じです。この仕組みは、空気を常に補給することが出来ると同時に、血流を空気の流れの逆にすることにより、酸素・二酸化炭素の濃度の変化の関係でもっとも交換がしやすい形になっています。この仕組みは肺の空気の流れが一方通行だから可能なのです。

因みに、この気嚢という器官は鳥類だけではなく、その先祖である恐竜にも見られます。恐竜が栄える以前、地球では哺乳類型爬虫類と分類される生物が繁栄していました。しかし、あるとき、大噴火による影響などで、30%あった地球の酸素濃度が10%程度まで落ちてしまいます。
酸素が豊富だった時代に適応していた生物達は低酸素状態に耐えられませんでした。次々に呼吸困難で倒れていきます。その低酸素時代を生き抜くためには、何かしらの対策が必要でした。
そこで恐竜が獲得したのが気嚢です。恐竜が繁栄したのは気嚢という特殊な器官を持っていたからだともいえます。一方、哺乳類はその厳しい時代に生まれます。つまり、胎生を獲得するのです。胎生により、出来るだけ大きな状態で生まれることが出来るようになりますし、親の体内で安全に成長することが出来ます。また、哺乳類は肺自体はそこまで進化しなかったのですが、肺の下に横隔膜を作り、強力に空気を吸引する能力を獲得します。
横隔膜は気嚢ほど効率はよくなかったのですが、何とか低酸素時代を生き抜く能力を哺乳類に与えました。

このような様々な方法を獲得して、生物はその低酸素の時代を生き残っていったのです。



posted by new_world at 03:04| Comment(11) | TrackBack(0) | 生態の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
面白い!タイトルに惹かれてやって参りました。記事の内容は非常興味深いです。なるほどよくできていますね。
Posted by ロペ at 2005年09月13日 03:23
うーん,そうですか.
かなりおもしろいです.

でもなんで哺乳類は気嚢を獲得できなかったんですかね…
Posted by clean_my_room at 2005年09月13日 05:55
渡り鳥は、左右の脳を半分ずつ眠らせながら飛び続けるそうですが、本当ですか。
私は全脳を眠らせながら、生きていますが・・・
Posted by yoyo at 2005年09月13日 18:46
人間の体の中もそうですが、他の生き物の体の中も不思議な世界ですねぇ〜。
Posted by くろこ at 2005年09月13日 18:57
ロペさん
凄いですよね。よくできています。


clean_my_roomさん
何ででしょうね。鳥は胎生ではないですしね。


yoyoさん
私もその話は聞いたことがあります。確かに、長期間飛び続ける渡り鳥は飛びながら寝ることもあるかもしれません。そのとき、マグロが寝たまま泳ぐように寝たまま飛んでいるのか、それとも脳を交代で眠っているのかは私はよく知りません。
でも、脳の一部だけ眠らせることが出来るのであれば、それはかなり有利になるでしょうね。


くろこさん
生き物の生きる仕組みは、やはり、凄いです。機械の動く仕組みとは比べ物にならないくらい複雑で、しかも、効率的なんです。
Posted by new_world at 2005年09月14日 07:06
すみません・・・もっと×2、図を分かりやすくお願いします。4649!!!!!
Posted by wzxqv at 2006年07月06日 15:55
いるかとかも、片目で寝るそうで〜す。鳥はすごいですね。
Posted by zx at 2006年07月06日 16:07
wzxqvさん
技術不足で無理っぽいです。著作権を無視すればあるんですけどね。


ZXさん
ほんと凄いですよね。
Posted by new_world at 2006年07月07日 23:01
また書いちゃいま〜す。
いろいろと今調べてるんですけど、(鳥の呼吸)いろ〜んなコトどこで知りましたかぁ???
ぜひぜひ、教えてくださ〜い!
Posted by wzxqv at 2006年07月09日 14:09
wzxqvさん
どこでしたかね・・・最初に見たのは恐竜関連の本だったと思います。記事に書いたように鳥は恐竜の生き残りですので。

で、確か、この記事のきっかけはNHKスペシャルだった気がします。地球大進化(?)とかいった番組名だったような。あとは私の個人的な考察がいくつか見られますね。

特別勉強したわけじゃなかったと思いますが、1年も前のことで、記憶が曖昧です。
Posted by new_world at 2006年07月11日 22:16
ちょっと気になったんですが、鳥は口で呼吸出来るのでしょうか?
Posted by seri at 2013年06月12日 13:44
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