2005年11月05日

バイソンの激減と人間の思惑

バイソンと言えばバッファロー(本来は“水牛”の意)とも言われて強さの象徴として野球などのスポーツのチームのシンボルともなっているのですが、このバイソン、凄まじい勢いで激減した時期がありました。

勿論、人間によってです。



バイソンにはヨーロッパバイソンアメリカバイソンの二種類がいます。

ヨーロッパバイソンはかつて、ヨーロッパに広く分布していた種でした。しかし、人間の乱獲と森林破壊によって激減してしまいました。
一時期、帝政ロシアの皇帝によって保護され、ある程度まで増えたこともあったのですが、20世紀初頭、ロシア革命でロシア帝国が崩壊した際、バイソンは帝政ロシアの象徴とみなされ、手当たり次第に虐殺され、いとも簡単に絶滅してしまったのです

今は保護区に集められている程度で、野生のものはいません。



一方、アメリカバイソンもかつては北アメリカ大陸の平原に6千万頭は生息していたと言われる北アメリカの代表的な動物でした。

しかし、西部開拓時代の19世紀半ば、たった60年ほどで、約99.998%が殺されました

19世紀初頭には4000万頭はいたそうですが、19世紀半ばに西部開拓が始まり、わずか数十年間で、肉として、また、娯楽として大量に虐殺され、あっという間に600頭足らずまで激減したそうです。

40000000頭が半世紀で600頭です。

信じられない数字ですが、これが人間の力なんです。


これは、ロシア同様に政治的な意味もあったようです。

先住民がバイソンに頼った生活をしていたのです。つまり、兵糧攻めです。

先住民の生活の糧を奪うことで、西部開拓を早く進めようとしたのです。

19世紀後半、バイソンの絶滅が危惧され、保護の運動も起きたそうですが、先住民制圧の為に軍はバイソンの乱獲を奨励し、20世紀になるまで保護は殆ど行われなかったということです。

人間の思惑や欲求の為に、バイソンはいとも簡単に絶滅に追い込まれたのです。

ただ、アメリカバイソンは20世紀初頭からは保護され、いまでは数万頭まで増えているそうです。



私たちは、ウシや犬のような家畜を大量に増やす能力も持ってはいますが、一方で、いとも簡単に特定の種を絶滅に追い込む能力も持っているのです。

植物にしても同じです。

米や麦、大根や人参のような食料となる“有用な”ものは栽培によって大量に増やしていますが、“使えない”原生林や雑草は次から次に刈り取ったり焼き払ったりしているのです。

まぁエイズウイルスとか鳥インフルエンザには手を焼いていますけど・・・。


posted by new_world at 22:02| Comment(6) | TrackBack(0) | 生態の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 パイソンは二種類いたのですね。しかも激減の理由が似ているのが興味深いですね。

 アメリカ・パイソンの話は大学時代、近代アメリカ史の講義で聞いて本当になんとも言えない気持ちになりました。「文明化」の名の下に…やっていることは今もあまり変わらないようですし。。。

 あと「クジラ」の話を思い出します。
Posted by アヤコ at 2005年11月05日 23:29
人間がいつか地球を滅ぼしますね^^
Posted by マチルダ。 at 2005年11月06日 11:21
人間の正義と権利はおそろし性ですね。
ところで、日本の「バイソン」はもう絶滅したのですかね。ジーンズの会社ですが・・・。
Posted by yoyo at 2005年11月06日 11:51
「ごめんね」としか言えませんね(T_T)

「力」というものの怖さを感じます。
Posted by bow_n at 2005年11月06日 12:27
アヤコさん
大きい生き物は見つけやすいですからね・・・しかも、肉も沢山取れますし。

鯨も乱獲されて今では保護の対象ですが、鯨の方はなかなか増えていないようですね。まぁ鯨は海にいるので数を数えるのも大変そうですけど。


マチルダ。さん
今の人類のままならそうなるかもしれませんね・・・もっと進化しないといけません。
Posted by new_world at 2005年11月06日 14:29
yoyoさん
正義って何なんでしょうね・・・。

ジーンズの会社にもバイソンってあったんですか。知りませんでした。絶滅が危惧されてるんですか?



bow_nさん
ヒトという種の繁栄を目指しながら自分の首を絞めているんですよね・・・。

まぁこれは動物全般に言えることではあります。
特定の種が大量に発生すると、同じ環境で生きている他の種を圧迫する為、結局は増えすぎたら生きていけなくなるんです。

ただ人間の場合、食べ物だけは確保しているので、なかなかそれに気付かないんですよね・・・
Posted by new_world at 2005年11月06日 14:35
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