2005年11月23日

クラゲについて。

今年も日本海から瀬戸内海、太平洋岸まで賑わしたエチゼンクラゲ。水温が15℃を下回ると死に出すということで、もうそろそろ(?)の時期も終わります。

大きいものでは1匹で150kgをこえ、多い時にはたった1日で5億匹以上が日本海に入ってきたと言われており、今期の日本海流入の総質量は全日本人どころか全中国人・・・もしかしたら世界中の人間の質量すら越えていたかもしれません・・・。

海というものの偉大さを感じさせられます・・・。

人間が増えすぎているといわれていますが、海は太平洋東岸というほんの少しの区域だけでも、たった一年で桁違いのエチゼンクラゲを生み出します

まぁエチゼンクラゲは人間以上に水分が多いので、比べる意味があるかは微妙ですが・・・。



さっきと表現しましたが、エチゼンクラゲは食用にされているくらげの一種だそうです。

中華料理などでも利用されることのあるクラゲだとか。

でも、毎日私たち日本人の総質量の何倍も入ってくるクラゲを食べきるのは無理でしょうね・・・


大量発生の原因は『東シナ海〜日本海の魚の減少によるプランクトンの増加』とか言われていますね。

あの巨大な体を維持する為の主な食料はプランクトンや小さな魚(稚魚など)らしいですね。

海って凄いです・・・

まぁあまり自分から動かないのでエネルギーもあまり必要ないのかもしれませんけど。


そういえば、クジラもプランクトンが主食だったような気がします。イカとかも食べるようですけど。




クラゲってかなり原始的な生物なんですよね。

プラナリアよりも原始的な形です。

進行方向への左右対称(⇒左右相称)ではなく、鉛直方向への放射状の対称形(⇒放射相称)で、移動はかなり苦手です。

進行方向に口はなく、動くのも苦手で追いかけることもしないので、獲物を捕らえる効率は悪いです。

偶然近付いてきた餌を捕らえるだけです。


筋肉は多少ありますが、運動能力は低いです。

運動能力があると筋肉を動かすことで老廃物が生じます

プラナリアにはその老廃物を排出する腎臓のような器官がありますが、クラゲにはありません

あまり動かないので老廃物が殆ど出ず、細胞間の浸透作用などで自然と排出されます。

腎臓は要らないんです。

また、プラナリアには中枢神経系、つまり、脳のようなものがありますが、クラゲには脳はありません

まぁ何も考える必要がないので要らないんです。


そもそも、クラゲはイソギンチャクと同じ仲間で、というか、イソギンチャクからクラゲができるんです

まぁ“イソギンチャク”からは“クラゲ”はできませんけど・・・


イソギンチャクやクラゲ、あとサンゴなどは刺胞動物といいます。

刺胞動物にはイソギンチャクのようなポリプの世代と普通のクラゲのようなクラゲの世代があります。


ポリプの世代はイソギンチャクのように海底などにくっついて動きません

ポリプもクラゲも放射相称で構造も殆ど同じなのですが、ポリプはクラゲをひっくり返した構造をしています。(というか、クラゲがポリプをひっくり返した構造ですかね・・・)

触手が上にあって消化器官などが下にあります。

クラゲはその逆です。


ポリプの一部が取れてクラゲの幼生(エフィラ幼生)になります。



刺胞動物は4つの綱に分かれていて、ヒドロ虫綱箱虫綱鉢虫綱花虫綱があります。


花虫綱にはイソギンチャクやサンゴが属しており、この仲間の最も大きな特徴はクラゲの世代がないことです。

イソギンチャクが海を泳いでいたりはしませんよね。

だから、イソギンチャクからクラゲは生まれないって言ったんです。

あと、内部の構造が他の綱のポリプよりも少し複雑です。

海底などにじっとくっついていることで生き残りを図った種なのです。


じっとくっついている、と言いましたが、この刺胞動物の仲間は基本的に“待ち”の姿勢です。

クラゲの世代も積極的に動くことはなく、待ち伏せ方、というか、伏せてもいません。(「待ち伏せ」の語源はよく知りませんが・・・)

逃げも隠れもせず堂々と浮遊して、偶然近付いたものを食べます


これは放射相称であることと深いつながりがあります。

積極的に動く為には、進行方向に向かって細長く左右相称であるほうが有利なのです。

節足動物も魚にしても爬虫類にしても哺乳類にしても基本的に前後に長く左右対称です。(鳥類も羽を除けば進行方向に向かって細長く出来ています。ダチョウや鶏は微妙ですが・・・)

まぁ人間は立ち上がってしまったので変な形をしていますが・・・でも、変な形をしているので機敏に動くのは苦手ですよね。

あと、カニとかには片方だけ大きい腕を持つ左右非対称ものなどがいますね。キリンも首が長いですが、胴体は進行方向に長いです。



まぁクラゲも左右対称ではあるのですが、縦長で、どう見ても動くのに効率の悪い形です。

人間と同じですね・・・上下に向かった形で左右が対称、まぁクラゲは上下方向に放射相称ですけど。

クラゲは前にスムーズに動くことができません。

そもそも、スムーズに動くような生き方をしていないのです。

毒の触手をもち、外敵から常に身を守ると共に、間違えて近付いた小魚や自然と流れてきたプランクトンを食べるのです。


生き方はポリプの世代と殆ど同じといえます。

流れに乗って移動できるという違いがあるくらいです。





次にヒドロ虫綱ですが、この綱はポリプの状態が優勢な綱です。

ポリプの世代で無性生殖によって増え、クラゲの世代で有性生殖をします。

また、この綱には花虫綱以外で唯一クラゲの世代を持たないヒドラという生物がいます

ヒドラは有名ですね。高校の生物の教科書にも載っているそうです。

出芽による無性生殖やプラナリアみたいな脅威の再生能力を備えています。

ヒドラにはクラゲの世代はないのですが有性生殖はします。

ヒドロ虫綱の中でヒドラだけはポリプから直接精巣と卵巣が出てきて受精します。

あと、昭和天皇がヒドロ虫綱を研究していました。


次に箱虫綱鉢虫綱ですが、両者ともクラゲの世代が優勢で、まぁいわゆるクラゲです。

箱虫綱は名前の通り、箱のような形をしています。

猛毒を持つものも多く、オーストラリアの北岸などに多く、よく人への被害が出ます。

沖縄でハブクラゲとか言われているのも箱虫綱の仲間です。


鉢虫綱はまぁ普通のクラゲです。

海水浴場などで見られるミズクラゲなども鉢虫綱です。

エチゼンクラゲもこの仲間です。


鉢虫綱にしても箱虫綱にしても、クラゲの世代が優勢ではあるのですが、種によって増殖能力に差はありますが、ポリプの世代も健在で、次から次に幼生を送り出します

そのため、環境によっては大量にクラゲまで成長してしまうことがあるのです。




と、クラゲのことを書いてみたりしました。


※図がないので分かりにくかったですよね。増え方(生活環)については日本博物館協会のHP⇒クラゲの増え方
に絵があります。



posted by new_world at 15:26| Comment(16) | TrackBack(1) | 生態の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
エチゼンクラゲの天敵はいないんですかね?(笑)
クラゲを食べる魚って。。。
何かが食べてくれればいいのに☆
Posted by マチルダ。 at 2005年11月23日 15:57
クラゲって脳みそないんですね。
なにも考えずにただ浮かんでるだけなんて、ちょっと羨ましいかも。
エチゼンクラゲの特集をテレビで見ましたが、気持ち悪すぎるくらい大量でした。美味しいんですかねぇ?う〜ん、海は不思議がいっぱいだぁ☆
Posted by caolin at 2005年11月23日 20:56
クラゲ1匹で150キロあるんでは網も破れるはずですね〜
あの気味悪いクラゲが私たちの食べ物だったのかと思ったら食欲なくなりそう。
まして、老廃物入りだなんて!!
Posted by jun_ko at 2005年11月23日 22:52
何か健康にいいというデータが出れば、みのもんたか何かの番組で紹介され、大量に消費されるようになり漁業の人も喜ぶでしょうが・・・。まあ、無いですよね。
Posted by yoyo at 2005年11月23日 23:16
jun_koさん
あれだけ大きいと誰か食べてみようって思うんじゃないでしょうか・・・

あ、老廃物はちゃんと抜けていますよ。というか、殆どないんで。

筋肉を動かしたりすると体内に老廃物がたまってしまうんで、それをこしだす器官が必要になるんです。

クラゲの場合、あまり動かないんで、自然と海に溶け出していくだけで充分みたいです。


yoyoさん
みのもんたさんは農家の稼ぎを左右させますからね・・・強いです。紅白の司会をしてNHKまで売り出すつもりみたいですね・・・。

とはいえ、あれだけ沢山いるわけですから、何かいいところが見つかってもらいたいものです。

スーパーにエチゼンクラゲが並ぶ日が来るのでしょうか・・・というか、あれ、日持ちするんでしょうかね。輸送に耐えられる素材でないとなかなか広まらないですよね。

もし、いい料理法が見つかれば、新しい定番料理になるかもしれませんね。
Posted by new_world at 2005年11月23日 23:39
エチゼンクラゲの食用については、
京都府宮津市の関西電力の水族館「魚(うお)っち館」でアイスクリームに入れて販売されているというのが、ちょっとした話題になっています。

http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20051031/K2005103100431.html

ミルク味で、けっこう美味しいらしいです。
Posted by gouya_na_hibi at 2005年11月23日 23:54
そういえば、シロナガスクジラを超える世界最長の動物はクラゲ(クダクラゲ)でしたね。
Posted by M.M@fujun at 2005年11月24日 00:29
クラゲって脳みそないのですね。。クラゲのように漂って生きていきたい今日この頃。
海は偉大ですが、あんなに巨大化するのはやめてほしいですね〜漁師さん泣かせなヤツらです
Posted by ちな at 2005年11月24日 12:24
gouya_na_hibiさん
ニュースで見たことがある気がします。

それにしても、画期的なネーミングの水族館ですね・・・魚を見るということでWatchとかけているんでしょうかね。

関電は宮津にそんなの作ってるんですね。

知りませんでした。



M.M@fujunさん
そうなんですか・・・そんな大きなクラゲもいるんですね。

凄いです。



ちなさん
確かに漁師の方への影響は深刻ですね。

それに、中国の漁師が獲りすぎたのが原因とか言われています。

バランスが大切なんですよね。

エチゼンクラゲが漁の対象になればいいんですけどね・・・
Posted by new_world at 2005年11月24日 19:40
「ポリプ」「エフィラ」……聞いたことがあると思い、引っ張り出してきました『図解 総合生物』。
学生時代のものです。持っとくもんですねー。
ありました。今日はとてもすっきりです(゚∀゚*)(。_。*)

>積極的に動く為には、進行方向に向かって細長く左右相称であるほうが有利
タツノオトシゴは積極的に動くことをやめてしまったんですね。
いつ、どこで(テレビなどで)見てもただよっています。とても不思議です。
Posted by bow_n at 2005年11月24日 21:43
こんにち▼・。・▼」」」」ーワンワン!!
あまりに面白いので読んでしまいました。感想としては絵か図がありともっとよかったですが。TVで漁港のひとがレポーターになまで越前くらげその場で一口試食してましたが、塩辛くてまずいそうですよ。
Posted by むっち at 2005年11月25日 15:41
bow_nさん
タツノオトシゴもそうですね。ヒトに似ています。
前後が上下になっていますね。

タツノオトシゴが何で立ち上がったかは知りませんが、何かに適応したんでしょうね。

写真を載せられなくてすみません・・・。


むっちさん
絵とか図があった方がいいとは思いますが、著作権のが気になるんで・・・それに、自分で描く技術もないので。

生で食べたんですか・・・あまり美味しそうじゃないですね。塩抜きくらいはしたんでしょうけど・・・。

クラゲがどのような食材なのかは知りませんが、クラゲの酢の物とかありますよね。
Posted by new_world at 2005年11月25日 23:06
K大学の学祭(土曜で終わってしまいましたが)の模擬店でエチゼンクラゲ出してるとこありましたよ。
くらげスープを食べてみましたが、小さく刻まれすぎていてあまり味がわからなかったです。

ちなみに生でも売ってましたが、そっちは食べてません。先にこの記事読んでたら生のほうを食べてみたのに。残念。
Posted by histologist at 2005年11月27日 02:07
クラゲは脳がなくても、あれだけの生活ができるなんて、すごいですね。

大量発生の原因は、中国の魚の乱獲なのかな?
工場排水の影響はないのだろうか?

グーグルで検索しましたが、見つかりませんでした。

赤潮は確か、工場の排水が原因で起こったと思うのですが。
Posted by オオクボ at 2005年11月27日 16:49
histologistさん
学園祭でですか・・・なかなか考えてますね。どうやって入手したのかは疑問ですが。

やはり、食べられるんですね。

生って生のまま食べるんでしょうか・・・ちょっと勇気が要りますね。

料理してあるのが出ているなら食べてみようかって思いますが、生のままサラダかなんかで出てきたらちょっと身構えちゃいます・・・



オオクボさん
まぁあのレベルなら反射だけでも生きていけるんでしょうね。
沈まずに、餌を食べていればいい訳ですから。

考えて方向を選択したりはできません。

海流とか餌に誘われて進むんだと思います。


確かに排水によって富栄養化してプランクトンが増えてクラゲが増えた、というのも可能かもしれませんが、魚が減っていることから見ると、魚が減って分け前が増えたみたいな感じの方が私としては納得できます。

まぁ生態系に関しては複雑なので分かりにくいんでしょうけど。
Posted by new_world at 2005年11月28日 13:04
クラゲー
Posted by いいいいい at 2007年11月28日 19:28
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