2005年12月15日

老化C 

老化Bは微妙な終わり方で、いまいち納得できなかったので、ちょっと本を読んで、またいくつか書こうと思います。

今回は復活の第一弾ということになります。(C〜は全く別の流れで書きますので、内容が@〜Bで書いたことと一部重なることがあるかもしれません。)



まず、発生の話をします。

19世紀後半、ヘッケルが『個体発生(発生)は系統発生(進化)を繰り返す』と著書で書いたことは有名ですが、このように考えられるくらいに、個体の発生は生物間で大変似た形をとっています

これは生物が最も重視すべき段階は「発生」にあり、発生段階は進化の過程においても厳しくプログラムされ、例外が殆ど認められなかった結果だと考えることも出来ます。

発生のシステムは、進化の過程で生物が手に入れた極めて優秀な機構なんだと思います。

ミミズもハエもヒトも似たような遺伝子の働きで発生しています。



詳しくは知りませんが、ヒトの出産に関しても、“予定日”とかありますよね。

凄い不思議ではないですか?

出産の予定日ですよ。

予定日があたる確率は10%程度といわれているそうですが、その前後2週間以内に90%以上の子供が生まれるとか。

280±14、つまり、±5%ということになります。

予定日の計算の誤差を考えれば、凄く正確な値だということが分かりますよね。

それくらい発生は正確なんだと思います。(別に何かに書いてあったわけではないので正しいかは分かりませんが・・・。)



まぁそのあと成熟していくわけですが、成熟は体外(卵外)で行われるため、その種が生きる環境においてかなり多様化しています。

子の育ち方もかかる時間も種によって全然違います。

ここからは環境への適応が見られる部分です。


そして、老化ですが、老化も種によって極めて多様なものです。

ただ、老化がない種もあります。
植物や一部の動物(鯉など)は死ぬまで成長し続けて目に見えた老化が見られなかったりしますし、老化現象が見える前にころっと死んでしまうものもいます。

そういった老化がないものも結構いるのですが、今回は老化するものを考えたいと思います。

老化@で書いた気がしますが、成熟は発生ほどではないにしても正確にプログラムされており、完成体には個体差(個性)があるのですが、その過程は同種では大変似ています

それに対して老化は、同種でも個体ごとに全然違います

ヒトの場合だと、白髪が増える時期、皮膚のしわの状態、衰えが顕著な臓器の種類、目の老化など、個体ごとにばらばらで家族でも全然違います。

同じ遺伝子を持つ双子でも、遺伝的背景によって似ている部分も多少あるとは思いますが、違う形で老化します。




これほど多様で様々な部分で起こるので調べるのが難しいのです。

それに、老化を観察しているうちに自分が老化してしまいます

そんな理由もあって、老化の研究は寿命が短く、老化も比較的シンプルな『単細胞生物』や『線虫』、『ショウジョウバエ』などで老化の研究は行われてきたのですが、先ほど話したとおり、種によって老化の仕方は全然違うんで、はっきり言って、ヒトの老化の本格的な研究は殆ど夢物語でした。

動物実験が出来ないんです。

昔から研究されている老化ですが、
@ゾウリムシ:一定回数細胞分裂で増殖すると、増殖能力がなくなってしまいます。(他の個体と接合することで再び増殖能力を回復します。)

A線虫・ショウジョウバエ:成熟後は体細胞が分裂しないため、細胞自身の機能の劣化が老化になります。


ただ、どう考えてもこれらはヒトの老化とはかけ離れていますよね。

マウスとヒトですら、老化の過程は全く違います。

類人猿などを使って老化の研究をしたらどうかと思われるかもしれませんが、類人猿はヒトに近いだけに寿命も近いんです・・・それに、同じ霊長類でも老化の過程は異なります。

同じ霊長類においてテロメアの問題が重視されるのはヒトだけだといわれています。他の霊長類は倍以上長いテロメアを持っています。



ただ、最近やっと分子生物学が発達して細胞の中身や遺伝子などの解析が容易に出来るようになってきたので、ヒトの老化の研究がなんとかまともにできるようになってきたようです。



老化は『恒常性を維持する機構の破綻』と言われています。

子孫を残した頃から恒常性を維持しようとする仕組みに積極性がなくなるんです

そうなると生体システムの損傷が蓄積されていき、それが老化として現れると考えられています。

でも、その詳しい仕組みはまだあまり分かっていません。





次回以降は老化の機構についていくつか分かっていることを書いていこうと思っています。

予定(あくまで予定です・・・)
・ヒトの老化と似た老化をするマウス(まだ良く分かってないみたいですが)
・テロメアの話
・ウェルナー症候群
・活性酸素の話(前も書きましたが・・・補足)
など。



posted by new_world at 00:54| Comment(5) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
▼o・_・o▼コンニチワン♪
テロメアを作れたらすごいですね。それを今ある遺伝子のうしろに繋いだりして寿命をながくできたら。
Posted by むっち at 2005年12月17日 11:02
早く老いてしまう病気(?)がありますよね。
通常の10倍ぐらいのスピードで老いてしまう……
十代前半の少女が老婆のようでした。

ただ単に「長生きしたい・若いままでいたい」ためじゃなくて、そういう病気から救ってあげることができるのならば素晴らしいですよね。
Posted by bow_n at 2005年12月17日 11:42
ニューワールドさん,こんばんは.
うなってしまいますね.
老化は各々独自で様子が確実にちがってくるんですねぇ.
若く見える人や老け込んでいる人の区別はしてましたが,こうもしっかりした説を読むとなるほどなぁと思うと同時になんかコワくなってきます.

>発生段階は進化の過程においても厳しくプログラムされ、例外が殆ど認められなかった

『厳しくプログラムされ』という箇所にはっとしました.
理由はよく解りません.(笑
固体として完成された後の放任にはどういう意味があるんだろう.
こんなふうに頭を遊ばせているぐらいで止めときます.
Posted by fuku×2 at 2005年12月17日 18:36
むっちさん
テロメアを伸ばす生き物も結構いますよ。

今度書きますが、マウスの場合、普通、死んでもテロメアは充分残っています。

三世代分くらいは軽くあるみたいです。



bow_nさん
10代前後であれば早老症(プロジェリア)でしょうね。
早く老いてしまう病気はいくつか見つかっています。

あとはウェルナー症候群が有名です。

これは成人の早老症とよばれ、思春期を越えたくらいから急に老化し、40代半ばで死んでしまう病気です。
Posted by new_world at 2005年12月18日 18:54
fuku×2さん
老化の現象全体としての原因は殆ど分かっていないみたいです。

『成熟に有利に働く遺伝子が老化の引き金になっていても、成熟に有利な方が多く残るので、老化は蓄積されていく』、老化は子孫と直結しないので排除されないという考えなどがあります。

単なるミスの蓄積だと考える人もいます。

まぁよく分かっていないんですけどね。

とりあえず、進化においては、老化を妨げる理由がないんです。
Posted by new_world at 2005年12月18日 19:01
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。