2005年12月21日

老化E テロメア

テロメアについて書こうとは思っていたんですが、各生物固有のテロメアの長さが分からなくて、いくつか本を読んだりしてみました、けど、結局分かりませんでした。

論文とか探せばあるんでしょうけど・・・英語は苦手なんで。


老化と言えばテロメアを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、他の動物ではテロメア説はそこまで説得力のあるものじゃなかったと思います。

確かにヒトの場合はテロメアが重要な役割をしているようですけど。

でも、他の動物では死ぬまでにテロメアの長さは問題になることがないものがいます。

たとえばマウス。

マウスにはヒトの5倍以上のテロメアがあり、通常であれば、数世代まで持つ計算となります。

霊長類の中でもヒトのテロメアは特に短く、ヒトのテロメアは他の霊長類の半分以下だった気がします。


ヒトのテロメアは他の生物に比べかなり短いんです。

一部の組織の細胞では60歳くらいでテロメアがそこをついて増殖停止に追いやられます。

60歳ですよ、60。

老後の生活が始まっていない人が多いです。

そのくらいからテロメアが短くなりすぎて増殖不可になる細胞が出始めるんです。

個人差はかなりあるんですけど。

タバコを吸ってたりすると局地的に組織障害が繰り返されるのでその場所だけはより早く限界に達します。




テロメアはDNAの両端にある決められた6つの配列の繰り返しの部分です。その6つの繰り返しでヒトの場合1万くらいになります。

それが5000くらいになると複製のミスが出る可能性が高いので増殖停止命令が出ます。

このテロメアが必要となるのはDNAの末端の複製の問題なのですが・・・まぁまた今度説明します。



このテロメアの影響でヒトの細胞の分裂の限界は60回程度といわれています。

ただ、私たちの体は60兆個の細胞から出来ていますよね。

10回の分裂で1024倍ですので、40回で1兆倍くらいです。2の5乗が64ですので、60兆個になるには45回くらいは分裂が必要です。

ちょっと厳しいですね。

成人の体を一気に作ったとしても45回は分裂しなきゃいけないんです。

でも、実際は15年くらいかけて作るんでそのなかで沢山の細胞が死んでしまいます。

命の回数券はまだ15回分は残っていますが。


そのため、生殖細胞ではテロメアが少し長めに“作って”あります。

あえて“伸ばして”あるんです。

生殖細胞とはいえ親の細胞の分裂によって生まれますので、伸ばす機能がないと子供は親より短くなってしまいます。

そのため、生物はテロメアーゼというテロメアを伸ばす酵素をもっているんです。

しかも、発生初期にはテロメアーゼが働いて分裂してもテロメアが短くならないようになっています。


ただ、このテロメアーゼ、そのあとは封印されます。

テロメアーゼの遺伝子はしっかり鍵がされてしまうんです。

この酵素、とても危険なんです。

一見、無限に分裂できるようになりそうな気はしますが、実際はそういう簡単な問題ではないんです。

細胞分裂におけるDNA複製は完璧ではなく、増殖すればするほどミスが蓄積します。

無限に増殖するには、正確なDNA複製能力がないといけないんです。

だから、多細胞生物では永遠の命が困難なんです。

私たちは進化することからも分かるとおり、DNAの複製には必ずミスが生まれます。

大腸菌などであれば、細胞が一つしかないのでその細胞のDNAが変化しても他には影響しないのですが、私たち多細胞生物だと、一部の細胞だけが違ったDNAを持つことになります。

多少の違いは許容できるのですが、“永遠”は無理でしょうね。

突然変異の多くはマイナスに働きますので。

ガン化もその一つです。





テロメアーゼが復活するとガン化がしやすくなるでしょうね。

増殖に限界がなくなるんで。

タバコなどによって炎症が続き、増殖し続けている部分はがん化しやすくなります。

実際に、8割くらいのガン細胞において、テロメアーゼが復活してるんです。



つまり、テロメアーゼの封印はガンの予防になっていたんです。

ガン細胞の定義は生体システムで制御が出来ない『増殖し続ける細胞』です。

増殖し続ける為にはテロメアーゼが必要なんです。(テロメアーゼがないガン細胞もあるようですが、その仕組みはよく知りません)





細胞は増殖できればいいわけではないんですね。

いくら長く増殖できるようになっても、細胞にかかる負担は同じなんで、傷は残るんです。




と、なんか少し話が飛びましたね。

老化の話です。

ヒトにおいてはテロメアが短いのでテロメアが“命の回数券”のような働きをしているのは事実なようです。

テロメアの短縮が速いと早く老化するといわれます。

プロジェリアやダウン症、ウェルナー症候群、ナイミーヘン症候群などの老化が早い遺伝病の患者においてはテロメアが短かったり、短縮スピードが速かったりしているようです。

ただ、これには他の老化原因も見つかっており、必ずしもテロメアが中心ではないようです。



また、慢性肝炎や肝硬変の患者では肝臓の再生能力が落ちるといわれています。

これも、慢性的な炎症などで肝臓の細胞の増殖回数が増えすぎて、“回数券が足りなくなってしまった”為だと考えられています。

肝臓の“老化”と言えます。

更に、増殖が本来多いリンパ球においても“回数券が足りなくなって”分裂できなくなる場合があります。

この場合、免疫が動かなくなるということなので、健康に直結します。

これは免疫力の低下の一因ではないかといわれています。

このように損傷・増殖を繰り返し、テロメアが足りなくなることで機能不全になることは確認されています。

ただやはり、テロメアが老化の大きな要素であるのかはよく分かりません。

テロメアが短くなる前から老化は始まりますので。

老化は30代くらいから始まりますが、30代であればテロメアの長さはまだ結構あります。

それなのに老化は始まるんです。

テロメアよりもDNAの損傷の蓄積などの方が老化につながりそうな気がします。

まぁまだよく分かっていないんですけどね。





あと、活性酸素の濃度が高いとテロメアの短縮が早くなるそうです。

高濃度の酸素かで培養した細胞においては、分裂回数に対してテロメアの減少が著しかったそうです。

逆に、低酸素の状態だと細胞の寿命が延びたそうです。

活性酸素はここにも出てくるみたいです。





ややこしいですね・・・

まぁ老化はややこしいんですけどね。

前回はカルシウムの話、今回はテロメアの話・・・次回はヘリケースの話(ウェルナー症候群)の予定です。

どれも老化に関与しているみたいです。

でも、ほんとよく分かっていないみたいなんですよね・・・情報に不明点が多すぎて分かった気が全然しないです。



posted by new_world at 00:34| Comment(7) | TrackBack(0) | 生命の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
テロメアって、やっぱり焔の下でだんだん短くなる蝋燭のようなものですね・・・あぁ、人生ってむなしい。
Posted by rococo at 2005年12月21日 00:48
そのテロメアを復活させたりはできないのですか?
舐めているうちに無くなっていく、千歳飴のようです☆
Posted by (≧▽≦)ノ at 2005年12月21日 11:23
rococoさん
生きていくためには細胞が新しくならないといけません。

細胞が永遠の命を持っていれば私たちも永遠の命を持つことができると思います。

ただ、細胞も機械と一緒で長年使えば老朽化します。

そのため、必ず作り直さないといけないんです。

そして、設計図であるDNAを引っ張り出してまた最初から作るわけですが、それも微妙に失敗してしまうんです。

そのため、増殖すればするほど原型から外れてしまいます。

私たちは60兆個の細胞の社会ですので、異端児が生まれ、それが増えていくととうまくいかなくなるんです。

ですから、ヒトは『60回まで』という制限をつけたのだと思います。

その中でやりくりしていこうと決めたんでしょう。

普通の細胞であれば60回も分裂できれば十分なんです。120くらいまでなら生きていけます。

ただ、一部の細胞にとってはちょっと少なかったみたいですけどね。
Posted by new_world at 2005年12月21日 16:08
(≧▽≦)ノさん
伸ばすことはできます。でも、伸ばすと危険なんです。

60回という制限をつけることで、ヒトは内部における反乱を防いでいるといえます。

普通の細胞であれば60回も分裂することはないのですが、増殖因子が出すぎたり、慢性的な損傷が続いたりすると60回を越えることがあります。

それ以上分裂すると、ガン化したりする可能性が高いのです。

ガン化するまでにテロメアが尽きた細胞はガン化しません。

ガン化一歩手前であっても、テロメアが尽きればそれまでです。

私は、そういった感じで、テロメアがあるんだと思います。
Posted by new_world at 2005年12月21日 16:11
老化方面は私も興味があったので色々調べた事があります。
ちょっと懐かしいです。

不死は不可能としても突き詰めれば不老は可能なんじゃないか、テロメアーゼ阻害薬を駆使すれば副作用の少ないガンの治療薬ができるんじゃないか、等々。
そんな単純なものではないというのを知ったのはまた後の話ですけどね(^^;
Posted by 吹息 at 2005年12月21日 23:26
「これさえなくなれば/増えればOK」なんてものはないんですね。

長持ちしさえすればよい、というものじゃないことは、細胞も人間自身もいっしょですね。
Posted by bow_n at 2005年12月23日 09:48
吹息さん
まぁ不老不死が不可能かどうかは別として今のところは無理っぽいですね。

老化はまだあまり分かっていないので今の段階ではあまり手が打てないでしょうね。


bow_nさん
そうなんです・・・発生は結構シンプルなんですが、老化の方はいろいろなことが複雑に入り組んでいて殆ど分かっていないというのが現状のようです。
Posted by new_world at 2005年12月23日 15:36
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