(前回の話から始めます。)
高さを定義するにあたって、0mの基準面を作る必要があります。
で、その基準面は気分的に海水面にしたいわけです。
しかも、高さというのは重力があるからあるものですので、重力が平均海水面と等しい面を高さの基準にしたわけです。
それをジオイドと呼びます。
でも、重力で決めると、地下に重いものが埋まってるところや、軽いものが埋まっているところだと凹凸が出来てしまいます。
高さはジオイド面で決めてもいいのですが、形などはやはり綺麗な面でないと不都合なんです。
それで、地図を作る場合は楕円体に近似するんです。でも、あくまで近似ですので、いろいろと方法があります。
その方法が国によってばらばらだったんです。
特に近代化の早かった欧州や日本と、第二次大戦後に近代化したアフリカなどの国の間で結構な意識の差がありました。
アフリカ諸国などは、世界統一基準を目指したのですが、古くから独自の測地基準(準拠楕円体+その軸)を作っていた欧米や日本は中々それまでの基準を捨てられなかったんです。
でも、グローバル化の世界です。80年代頃からアメリカやカナダも世界統一の測地系へ移行し、その動きが広まっていきます。
そして、90年代になると、公海上の海図は世界測地系で表示するという決まりが出来たのです。
日本には海国ですので、日本にはたくさんの船が往来します。
公海上で日本の測地系と違うものが標準的に使われるようになると問題が生じるんです。
旧日本測地系と世界測地系での誤差がかなりあったのです。
距離にして400m・・・普通に間違えたら危険な距離です。
それで、日本の重い腰も上がって、2002年に日本もやっと世界測地系に仲間入りしました。
まぁ地図は国土管理の要ですので、いろいろと法律が絡んでいて、簡単には変更できなかったみたいです。
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いろいろなところで変更があっているんですね。
日本は東京湾平均海水面を基準にして、どこかの場所(これは忘れました)で準拠楕円体をピン止めしていました。ただ、これだと他の国ではかなりずれてしまってぜんぜん基準にならないんですよね。
まぁでも結局、楕円体はあくまで近似ですので、完璧じゃないんです。でも、凹凸のある面に地図とかを書くのは大変ですからね。