2007年01月14日

孤島の生物進化と人間

孤島は進化の実験室・・・そんな言葉をどこかで聞いたことがあります。ガラパゴス諸島やハワイ諸島など、大陸から遠く離れた島においては独自の生態系が築かれ、大陸側から見れば一風変わった生き物達が生息しています。

特に、大陸と陸続きになったことのない海洋島と呼ばれる島においては、大陸や大陸島には見られない生態系が存在します。

海洋島と大陸島では地質的にも違いますが、一番大きな違いは、海洋島の生物が全て海を渡ってきたものであるということです。つまり、海を渡れない生き物は海洋島にはいないんです。

たとえば、哺乳類。

泳ぐことの出来るイルカやクジラ、アシカなどは別として、陸上の哺乳類は何百キロも海中を移動することはできません。小型の哺乳類(ネズミなど)が漂流物に乗って漂着したり、コウモリが空を飛んでたどり着くことはあったようですが、一般の哺乳類はまず海を渡ることはできません。そのため、そういった孤島では哺乳類はあまり生息していないようです。(今はヒトが持ち込んだ家畜がいるかもしれませんが・・・)


また、両生類は、塩分に弱く、海産の種が確認されていないことからも、海洋島には生息していないと思います(調べてはいません)。(両生類は淡水性の魚類が上陸したものだと考えられています。ただ、化石種には海産の種も確認されています。)




ただ、爬虫類はちょっと違うようです。

ガラパゴスと聞くと、ゾウガメやイグアナを思い浮かべる方が多いと思います。亀もイグアナも爬虫類です。

爬虫類は結構いるみたいなんです(私は見たことないですが・・・)。

爬虫類が多くわたっているのは、爬虫類は変温動物なので長期間食事を取らなくても生きていけるからだと思います。哺乳類と違って体温維持のためのエネルギーが必要ないので、(植物の種ほどの耐性はありませんが)変温動物の爬虫類や昆虫は長距離の漂流には耐性があるんです。

それで、ガラパゴスでは哺乳類よりも爬虫類が繁栄しているんだと考えられます。まぁ勿論、飛んで移動できる鳥類や抜群の耐性のある植物の方が移動は有利でしょうけど。


ちょっと話がそれますが、ガラパゴス諸島にウミイグアナっていますよね。岩礁で日光浴をしたりしているあの生き物です。彼らは泳ぐことが出来ます。でも、ガラパゴスに漂着した彼らの祖先は泳げないイグアナだったと言われています。

彼らの祖先は運よくガラパゴス諸島に漂着したのですが、出来たてのガラパゴスには食料となる植物が少なく、それで海にもぐって海草を食べるようになったようです。

他にガラパゴスにリクイグアナというサボテンを食べるイグアナもいるのですが、彼らはウミイグアナの祖先より後、サボテンがガラパゴスに広がった後で漂着したイグアナだといわれています。


話を戻しますね。

爬虫類や昆虫、植物にしても、遠方の島に何度もたどり着けるはずはなく、遠く離れた島においては、運よくたどり着いたものだけによる新たな生態系が作り上げられることになります。

そういった孤島の場合、大陸に比べて圧倒的に種の数が少ないので、ニッチ(生態系における地位みたいなもの)がガラガラなんです。そのため、種の拡散がしやすく、また、競争も少ないので多少弱い種でも生き残ることができるんです。(まぁそのせいで外来種には弱いのですが・・・)

そんな感じで海洋島では大陸とは異なる生態系や固有の生物が作り上げられるので、「進化の実験室」と例えられたりするんです。


まぁ勿論、大陸と陸続きになったことがある大陸島でも、長い時間隔離されていれば、独自の進化が生じています。

奄美大島や琉球列島などの南西諸島の生き物は有名ですよね。アマミノクロウサギやイリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ・・・そういった生き物達は、海で閉じ込められた後、大陸とは関係なく進化していったものです。

アマミノクロウサギなどは大陸では絶滅した種族の生き残りです。島に天敵が残っていなかったからこそ生き残れたんです。

ただ、そういった種も、ヒトが天敵を持ち込んで、どんどん絶滅していますけど・・・



そう、問題はヒトです。

ヒトは、生活が可能な場所であれば、大陸からかなり離れた孤島にも大抵住んでいます。(まぁ南極大陸には定住できませんでしたが・・・)

ヒトは他の哺乳類と違い、海を渡れるんです。

しかも、他の種族がじっくりとDNAで進化しているのを横目に、知能によって作り上げた知識を言語というある種の遺伝子のようなもので子孫に伝え、技術を進歩させてあらゆる環境に適応していきました。

単一種が地球上のあらゆる環境に適応できるというのは、他の動植物ではありえないことだと思います。

他の生物であれば、遺伝子の変化によって異なる環境に適応していきますので、渡り歩いているうちに種が分岐していきます。しかし、ヒトは、そんなことお構いなしに衣服や住環境、食料などを工夫して遺伝的変異を待たずに適応し、その技術によって海や大河でも渡り、一気に地球全体に広がりました。

ヒトが生態系や環境に与える影響力の強さは異常です。“環境保護”という環境の維持管理すらできそう(あくまで“できそう”ですが)なほどの影響力です。自制しないと生態系をぐちゃぐちゃにしてしまいます。


この影響力は孤島にとっては特に脅威です。

“ヒト”は、孤島が苦手とする“外来種”なんですよね。しかも、ヒトと言う外来種は、“家畜”として他の外来種まで引き連れてきます。

マングースや猫、ヤギなどが野生化してあちこちで問題になっていますよね。(マングースが家畜なのかは微妙ですが・・・)

他にもヒトが森林を伐採して田畑や自分達に都合の良い森林に変えたりすることで現生の植物を駆逐してしまいます。

あと、あまり知られていませんが、養蜂業者のセイヨウミツバチなんかも多くの昆虫や植物を絶滅に追いやっています。

セイヨウミツバチが他の昆虫の蜜を奪い昆虫が絶滅し、そのご当地の昆虫と共進化してきた植物も受粉効率が落ちたりして減少、さらに養蜂業者が持ち込んだ蜜を多く出す“外来種”植物との競争に負けて絶滅・・・のように。



生き物は絶滅を繰り返しながら進化してきたわけで、外来種などによって弱い種族が絶滅することが本当に悪いことなのかはよく分かりませんが、急すぎる生態系の変化はヒトにも悪影響を与えるので、ヒトとしてはやはり避けるべきなんでしょうね。

生態系を崩壊させかねない急激な変化(どの程度で崩壊するのかはよく分かりませんが・・・)の原因は私達ヒトにある可能性が高いので、その原因を究明し対策を講じるのはヒトがすべきことだと感じます。ヒトの社会でいう“責任”という感覚ですかね。

ただ、判官びいきや弱者救済の感覚で手当たり次第に滅び行く種族を保護していったり、逆に単一種ばかり集中して保護したりするのはどうかと思いますけどね。以前テレビで、コウノトリか何かの野生化のために、田舎の方に大きな飼育施設を作ったり、畑の真ん中に巣作り用のコンクリートの柱を何本も立てている(←コウノトリが電柱に巣を作ったからだったと思います)のを見たことがあるのですが、個人的には、そこまでしてコウノトリは保護すべきなのかと疑問に思いましたね・・・。

特に海洋島は本来陸上生物のいない島ですので、もともとが外来種の侵入と生態系の改変(=在来種の絶滅など)を繰り返して今に至っているわけですし・・・。




最後の方は何となく生物学から少し離れていってしまいましたが、久々に頑張って書いた記事でした。

先週くらいから下書きはあったのですが、いまいちまとまらなくて、まぁ結局思うようにまとめられなかったのですが、あまりに更新が滞っていたので出しちゃいました。

文章を書くのはほんと難しいですね・・・3つくらいに分けても良かったかもしれません。


posted by new_world at 20:25| Comment(6) | TrackBack(0) | 生態の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちわ
たいへん興味深いお話でした。
一気によんでしまいました。
地球上で起きてることは、あるいみ自然現象で、自然淘汰しているんかもしれないですね。海の中や陸上でいろんな種が発生して絶滅してるそのひとつにすぎないのかもしれないんですよね。人間がいろんな種の絶滅に手を貸しているようにみえても、これも地球規模でみたら自然の成り行きにすぎないのかもしれないんですよね。
地球温暖化も昔は二酸化炭素と水蒸気の高温の地球があり、極低温の氷河期もあったのだから、人間のためにあるわけではない地球に寄生してるだけです。
Posted by むっち at 2007年01月15日 10:41
むっちさん
人間も生態系の一員ですからね。
鳥などが他の生物を運んでくることもありますので、外来種を持ち込むこと自体が本当に悪いことなのかは私には判断できません。まぁでも、ヒトの持ち込む量・頻度が半端じゃないというのはあります。ヒトは大量輸送・長距離移動が可能なので、鳥や流木のようなごくまれな頻度でしかない外来種の到来とは大分状況が違ってきます。

地球にとっては生き物がいようがいまいが関係なく、ただ存在しているだけですから、私達ヒトが環境問題などを考える場合は、「地球はどこまで許してくれるのか」と“地球”に問いかけるのではなく、「どこまでなら自分達は無理せず生きていけるのか」という問いを自分達にするべきだと私は思いますね。

人間のいう「責任」は、自分達が属する集合体(社会)を健全に維持するためのしくみのひとつですが、これは生態系という集合体に対しても適用可能だと思います。生態系を健全な状態で維持するためには、ある種の責任という概念を導入したほうが分かりやすいですし、私達の感覚的にも自然なんだと思います。実際にそんな感じで進んでいますし。

基本的に、私達の選択肢の中に「地球からヒトを排除する(絶滅)」という選択肢はないわけですし、結局は、自分達のためにやっていることだと思います。
Posted by new_world at 2007年01月18日 23:59
こんにちわ
ロシア、アメリカが地球外の惑星探査をしているのは、いずれ地球にすめなくなることを想定して、、まず、火星を調べているんじゃないかなと思います。宇宙ステーションでアメリカ、ロシア、日本も協力して、宇宙での生活が人間にどう影響するかをしらべています。、いずれ月に移住して自給自足の生活を経験訓練して、太陽系外へでて行く準備をしているんだと思いますよ。
Posted by むっち at 2007年01月19日 19:17
むっち さん
火星のテラフォーミングは魅力的な題材ではありますが、完全に地球化するのに1000年近くかかるのではないかといわれているのが現状ですからね・・・。

まぁでも、科学の進歩は10年先でも予想が難しいので、数十年後、数百年後にはより現実的な計画が出来るかもしれません。

今の技術で可能そうなのは、地上の宇宙ステーションというか、大量の生物が生息可能な大規模施設を月や火星に作ることですかね。

火星をテラフォーミングしても火星にある水の量によっては水浸しで結局殆ど住めなくなるのではないかという懸念もあるようですし、そうなるくらいなら月に基地を沢山作っていって最終的には月全体をカバーしていくほうが現実的だと素人の私は思いますね。

まぁでも、実現可能かどうかは別として、興味深い話です。
Posted by new_world at 2007年01月23日 21:59
こんにちわ
とてもわかりやすく書けていますね。すごいです。
ところで大陸・大陸島のちがいってなんでしょう。教えてくれませんか?
Posted by kyoko at 2007年02月10日 12:49
kyokoさん
厳密な定義は知りませんが、大陸島と大陸は同じ大陸地殻に属しています。地殻の凹凸の影響で間が海になっているものが大陸島です。

大陸地殻と海洋地殻では比重が異なり、両方ともマントルの上に浮いているのですが、大陸地殻は軽くて厚い地殻、海洋地殻は重く薄い地殻です。(何故軽い大陸が生まれるのかは私は知りません)

日本列島などはユーラシアの大陸地殻の端っこの大陸島で、重い海洋地殻が太平洋側で沈みこんでいます。それが融けて上昇してできているのが火山です。

その沈み込みが地震の原因でもありますので、地震の震源の分布を見ると、沈み込む海洋地殻の形がよく分かります。(参照HP:http://www.hp1039.jishin.go.jp/eqchr/figures/f2-5.jpg


進化学的には、大陸とつながったことがある島を大陸島と言ったりもするみたいですが、詳しいことは知りません。
Posted by new_world at 2007年02月10日 21:04
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