2008年03月19日

一酸化炭素とバックドラフト

当たり前といえば当たり前ですが、一酸化炭素って燃えるんですよね。



基本的なことですが、燃焼するためには、大きく分けて3つのものが必要です。

「燃えるもの」「燃やすもの」「燃えるきっかけ」です。

燃えるもの=可燃性の物質

燃やすもの=酸素

燃えるきっかけ=熱などのエネルギー

と言えます。

ただ、私達が言う「燃える」という現象は、一般的には「炭素(C)や水素(H)と酸素(O)が結合して二酸化炭素(CO2)や水(H2O)になる」現象のことをさします。

マグネシウムなどの金属が激しく酸化することで生じる発光を伴う酸化なども立派な燃焼ですが、通常は、木材(セルロース:多糖類)やろうそく(油脂など:脂肪酸エステル)の炭素や水素が酸素と結合してエネルギーが急激に開放される現象を燃焼と呼んでいると思います。(まぁ燃焼は必ずしも激しい必要はなく、体内での緩やかな酸化も燃焼と呼びます。ダイエットとかでよく使いますよね)


と、話がそれましたが、一酸化炭素は燃えるんです。

一酸化炭素(CO)は炭素が燃焼しきっていない状態のものであり、さらにもう一つ酸素(O)と結合して(=燃焼して)二酸化炭素(CO2)になることが出来ます。

この一酸化炭素の燃焼として有名な事例が、今回のタイトルにもある「バックドラフト」という現象です。

「バックドラフト」はビル火災などで見られる爆発の一種で、火災現場のドアを開けたらいきなり爆発・・・そういう現象です。

この現象が起こるのは密閉された部屋の中で火災が起きた場合です。

密閉した部屋で火災が起きた場合、燃焼によって大量の酸素が消費されますが酸素の供給は殆どないため室内の酸素濃度が減少します。じきに酸素が足りなくなり、燃焼できる状態の炭素に対して充分な酸素が供給されず、一つの炭素に対して一つだけ酸素が結合した一酸化炭素の状態のものが多く発生してしまいます。

先ほど書いたとおり一酸化炭素は可燃性のガス(=「燃えるもの」)で、密閉した部屋の中は高温で充分に発火するエネルギーを供給できる状態(=「燃えるきっかけ」)なのですが、酸素がないため燃焼できません。

足りないのは「燃やすもの」だけなんです。

そこに急激に酸素を供給すると、充満した一酸化炭素が、酸素があるだけ燃焼し、爆発が起きるんです。

それが、「バックドラフト」です。

日本ではかつて、蔵においてこの「バックドラフト」が発生することがあったようです。

蔵は密閉性が高く、内部で火災が生じても先ほどのように酸素が足りず、一酸化炭素が充満することになります。そこでもし、蔵が開かれて酸素を含む空気が供給されると、一気に燃焼して火の海になるんです。

通常、蔵には火の気がないので、蔵内部の火災というよりもその周囲の火災によって生じることが多かったようです。周囲の家屋の火災によって蔵が火に囲まれ、蔵の内部が高温の状態になるのですが(=「燃えるきっかけ」)、「燃えるもの」はあっても酸素(=「燃やすもの」)がほとんど供給されません。

そのため、酸素濃度の低下による不完全燃焼で一酸化炭素が発生し、窓が割れたり扉が外れたりして20%も酸素を含む普通の空気が供給されると一気に燃焼し、「バックドラフト」が生じるんです。



どの程度の濃度の一酸化炭素で「バックドラフト」が起きるのかは知りませんので、一酸化中毒との兼ね合いは良くわかりませんが、火災の際に一酸化炭素は、そのヘモグロビンとの結合能の強さ(酸素の約250倍)から中毒症状を起こすだけでなく、燃えることで爆発も起こす危険な物質なんです。



posted by new_world at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学の雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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